2025.10.20
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令和7年(2025)10月27日~11月9日「読書週間」です。

■10月27日~11月9日「読書週間」です。■

「読書週間(どくしょしゅうかん)」とは、10月27日から11月9日まで2週間にわたり、読書を推進する行事が集中的に行なわれる期間のことです。自治体、学校、図書館、書店、新聞社などが、全国各地で講演会や展示会、読書会、お話し会、ポスター作成など、読書に関する行事を実施します。

「読書週間」は、1910年代のアメリカでボーイスカウトの図書館員が立ち上げた Children’s Book Week が始まりといわれ、同様の取り組みは世界中で行なわれています。

日本では、大正13年(1924)「日本図書館協会(にほんとしょかんきょうかい)」〔※〕が11月17~23日を「図書週間」とし、全国各地で読書を勧め、良書を推薦し、図書文化を普及するためさまざまな行事を催しました。

前年の大正12年(1923)「関東大震災」が起き、図書館も出版社も甚大な被害を被り、受け継がれてきた書物や資料が一瞬にして灰と化してしまいました。復興へと向かう時勢に乗り、知恵の糧・こころの糧としての読書の価値を広めるため、図書館や出版関連の団体が力を合わせて実現したのが、第1回「図書週間」だったのです。

その後の日本での「読書週間」は「図書館週間」(昭和8年(1933))と名称を変えて続けられましたが、大東亜戦争のあいだは中断を余儀なくされました。

終戦直後、戦後の食糧不足のなか、食べるのもやっとという日々にもかかわらず、出版活動は活発に動き出しました。民間の読書欲も極めて高く、その機運を感じとった日本出版協会、日本図書館協会、取次ぎ・書店の流通組織、その他報道・文化関連団体30余りが参加して「読書週間実行委員会」が結成され、昭和22年(1947)11月17日から11月23日まで第1回「読書週間」が実施されました。

期間が1週間では惜しいという声があがり、2回目からは「文化の日」を挟んだ10月27日~11月9日の2週間に行なわれるようになり、今日まで続いています。

「読書週間」のたびに実行委員会を作っていたのでは、その期間だけの運動に終わってしまいます。そこで、昭和34年(1959)「読書週間実行委員会」の任務を引き継いで、「読書推進運動協議会(読進協)」〔※〕が設立され、年間を通して読書運動を推進していくことになりました。

※日本図書館協会(にほんとしょかんきょうかい):日本の図書館を代表する総合的な全国組織。公益社団法人。図書館の成長・発展に寄与する活動を展開する。前身は、明治25年(1892)、25名の図書館人によって結成された「日本文庫協会」で、アメリカ、イギリスに次いで世界で3番目に設立された図書館団体。
◆日本図書館協会:https://www.jla.or.jp

※読書推進運動協議会(どくしょすいしんうんどうきょうぎかい、「読進協」):公益社団法人。第1回「読書週間」の主催団体「読書週間実行委員会」を発展的に解消し、出版界および読書界の代表的7団体により、昭和34年(1959)任意団体として結成、発足。秋の「読書週間」、春の「こどもの読書週間」の2大行事を主催すると同時に、「若い人に贈る読書のすすめ」「敬老の日読書のすすめ」「野間読書推進賞」など、年間を通じて読書の普及と推進にかかわる事業を多面的に展開する。
◆読書推進運動協議会:http://www.dokusyo.or.jp

◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆

明治時代から読書の大切さを訴えてきた人びとがいて、文化国家への努力がすでに始まっていたことを知ると、現在の社会や文化はなんと多くの人びとの努力の積み重ねの上にあるのだろうと深い感慨を覚えます。「読書週間」の発足にも力を尽くした編集者・実業家である「布川角左衛門(ぬのかわかくざえもん)」は、第4回読書週間の開催に寄せて

催しものも運動も、本を読む人々のためにあり、本を読む人々とともにある。地域を問わず、年齢にこだわらず、あるいは職業に関係なく、本を読む人々すべてが、この週間をみずからのものとして、心を寄せ、意義あらしめることを切に期待する。(昭和25年「日本読書新聞」より抜粋)

と述べました。『徒然草』に

ひとり、燈(ともしび)のもとに文(ふみ)をひろげて、見ぬ世の人を友とするぞ、こよなう慰むわざなる
(ひとり灯下に書物をひろげて見も知らぬ時代のひとを友とするのは、このうえもなく楽しいことである――佐藤春夫訳)

という言葉がありますが、読書があらゆるひとにとって友を得る機会なのだと考えると「読書週間」の催しもことさら意義深く、そして楽しみに思えてきます。
筆者敬白

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