■8月11~15日 徳島「阿波おどり」です。■
「阿波おどり(あわおどり)」は、日本を代表する「盆踊り」のひとつで、「徳島市」を中心に旧「阿波国(あわのくに)」一円で受け継がれ、400年の歴史を持つ伝統芸能です。8月11日から15日までの5日間、国内外から100万人を超える観光客が訪れて、各所の演舞場や踊り広場などを中心に、徳島の町は踊りの渦に巻き込まれ、興奮のるつぼと化します。
◆日本三大盆踊り
・阿波おどり(徳島市、阿南市、鳴門市、三好市など)
・郡上おどり(岐阜県郡上市八幡町)
・西馬音内(にしもない)盆踊(秋田県羽後町)
一説に、天正年間、徳島藩主「蜂須賀家政(はちすかいえまさ)」が阿波25万7千石の大守として入国し徳島城を築いた際、祝いの酒に酔った城下の人びとが、夜の更けるのも忘れて踊り歩いたのが阿波おどりの起源だと伝えられていますが、一般的には、盆の「精霊送り(しょうりょうおくり)」の道行きの踊りがもととなり組踊り、ぞめき踊り、俄(にわか)〔※〕などの民衆芸能を取り入れ、庶民に支えられながら徳島の伝統芸能として定着したと考えられています。

※組踊り:大規模な踊りで、中世の畿内で人気を博した「風流踊り(ふりゅうおどり)」を継承するもの。戦国末期の畿内地域を支配した「三好政権(みよしせいけん)」を軍事的に支えた「阿波の国人(こくじん)衆」のあいだにも大流行し、「阿波三好氏」の本拠である板野郡(いたのぐん)の「勝瑞城(しょうずいじょう)」下にも伝わり、町人たちの「盂蘭盆(うらぼん)」行事として定着した。
※ぞめき:「ぞめき」は「騒がしい」などの意味で、派手でにぎやかな踊りにつけられた名称。2拍子で軽快・陽気に踊る。徳島城下では、盆に辻や空き地などで小規模に踊っていたものが、経済活動が活発になるにつれて、規模が大きくなり、往来に繰り出して踊り進む「お練り」のようなかたちになっていったと考えられる。
※俄(にわか):即興の寸劇で、上方(かみがた)をはじめ諸国で流行していた民衆芸能。1人または数人で歌舞伎や人形浄瑠璃の真似をしたり、世相を風刺したり、寄せの真似ごとをしたりなど、多様なかたちがある。徳島でも盆踊りでにぎわう市中を「俄踊り」がさらに盛り上げたと思われる。
◆「連(れん)」
阿波踊りの踊りのグループを「連(れん)」といい、数十人からなるものが平均的ですが、なかには100~200人規模の大きな連もあります。
阿波おどり振興協会、徳島県阿波踊り協会、阿波踊り保存協会のいずれかに所属する卓越した技術を持つ連を「有名連」といいます。県の内外にも数多くの有名連があります。時には勇猛に格好よく、時には滑稽な仕草で笑いを誘う、ダイナミックな「男踊り」、編笠を深く被り、下駄で軽やかなステップを踏みながら、艶やかに踊る「女踊り」。それぞれの連が個性を極め、練習を重ねた見事な踊りを見せます。
そのほか、会社をあげて参加する「企業連」、観光客が参加できる「にわか連」など、例年延べ1,000もの連が出場します。
阿波おどりで演奏される楽器を「鳴り物(なりもの)」といいます。笛、三味線、締太鼓(しめだいこ)、大太鼓、鼓(つづみ)、大皮(おおかわ:大鼓)、鉦(しょう、かね)などの楽器で、基本は2拍子、テンポも早い連から遅い連まであり、それぞれの連のスタイルに合わせた伴奏で個性を演出します。
阿波おどりでは有名な「えらいやっちゃ!えらいやっちゃ!ヨイヨイヨイヨイ!踊る阿呆に見る阿呆!同じ阿呆なら踊らな損々!」という「よしこの」〔※〕があり、有名連などで歌われています。「ヤットサーヤットサー」の掛け声が多く使われます。
※よしこの:江戸時代の流行歌(はやりうた)。江戸の街を流していた「飴売(あめうり)」が「潮来節(いたこぶし)」を歌い、終わりに「コリャマタヨシコノ ベコシャラベコシャラ ヨシコノヨシコノ」と囃し立てたのを変化させて、三味線で歌い出したのが「よしこの節(よしこのぶし)」の起こりとされる。七七七五の4句の歌詞で、「都々逸(どどいつ」に似ている。「よしこの」は歌詞や節が変化しながら各地に広まり、盆踊りでも歌われ、「阿波よしこの」はとくに有名。
徳島市の中心部には一年を通して阿波おどりを楽しめる「阿波おどり会館」があり、いつでも阿波おどりの魅力に触れることができます。会館5階には「眉山ロープウェイ」の駅があり、徳島市のシンボル「眉山(びざん)」の山頂に登って、徳島市街から淡路島、紀伊半島まで一望することがきます。
◇阿波おどり THE AWAODORI(公式サイト):https://www.awaodorimirai.com
◇阿波おどり会館:https://www.awaodori-kaikan.jp
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
昭和30年代ごろから、高円寺や南越谷など関東地方でも阿波おどりのイベントが開催されるようになりました。同じ阿呆なら踊らな損損……今いちばん日本を元気にしてくれるのは底抜けに陽気な阿波おどりかもしれません。最近では町おこしの一環として全国各地で阿波おどりが踊られています。皆さんもお近くの阿波おどりに参加してみてはいかがでしょうか。
筆者敬白