■7月4~9日 千葉、成田不動「祇園会(ぎおんえ)」です。■
「成田山新勝寺(なりたさんしんしょうじ)」は、天慶3年(940)「寛朝(かんちょう、かんじょう)大僧正」によって開山された真言宗智山派(しんごんしゅうちさんは)の大本山です。「成田不動」「お不動さま」と呼ばれ古くから親しまれてきました。
「弘法大師」が自ら刻し開眼した「不動明王(ふどうみょうおう)」を本尊とし、大師が奉修した真言密教の護摩法の正系を伝えています。
寛朝大僧正は、「朱雀天皇(すざくてんのう)」より「平将門の乱」平定の密勅を受け、弘法大師が敬刻開眼した不動明王を奉持。難波の津の港(現・大阪府)から海を渡って東上、尾垂ヶ浜(現・千葉県山武郡横芝光町)に上陸し、陸路で成田の地に至り、「平和祈願の護摩」を奉修して成満しました。
大任を果たした大僧正は都へ帰ろうとしましたが、不思議なことにご尊像は動かず、「我が願いは尽くることなし、永くこの地に留まりて無辺の衆生を利益せん」との霊告が起こります。これを聞いた天皇は深く感動し、国司に命じてお堂を建立し「新勝寺」の寺号を授与。こうして東国鎮護の霊場「成田山」が開山されました。
◆成田不動の祇園会
「祇園会(ぎおんえ)」は、奥之院に祀られる本尊「不動明王」の本地仏(ほんじぶつ:日本の神の本地とされた仏・菩薩)である「大日如来(だいにちにょらい)」に、五穀豊穣、万民豊楽をはじめ諸願成就を祈願する祭礼です。300年の伝統がある夏祭りで「成田祇園祭」とも呼ばれます。大日如来の御輿を先頭に、山車や屋台などが華やかに巡行。最終日には、御輿と山車・屋台が一堂に会し、「お不動さま」へ「総踊り」が奉納されます。
祭礼期間中、大日如来を祀る奥之院が開扉され、光明堂で、寛朝大僧正が朱雀天皇より賜った成田山第一の霊宝「天国宝剣(あまくにのほうけん)」を特別に安置奉り、人びとの身体に当てて加持する「天国宝剣頂戴(あまくにのほうけんちょうだい)」が行なわれます。
「お不動さま」は「大日如来の化身」です。煩悩や迷いを鎮め、障り、災難を払うために恐ろしい姿をしています。またどんな所へでも出向き、すべての人を救済するため「奴僕(ぬぼく:召使の男)」の姿形をしています。右手には、悟りを開くための智慧を表す「利剣(りけん)」を持ち、心のあらゆる迷いを断ち切ります。左手に持つ縄「羂索(けんさく)」は、仏教の教えに背く人を膝元に引きつけて、正しい教えの道に導くためです。
成田山新勝寺
◇千葉県成田市成田1
◇JR成田線・京成「成田駅」徒歩10分
◇公式サイト:https://www.naritasan.or.jp
◆祇園会(日程など):https://www.naritasan.or.jp/lp/gione/
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
新勝寺の夏祭りです。祇園祭りが新勝寺で祇園会として300年もの間、受け継がれているのには神仏習合の時代のなごりと解釈できます。山車(だし)も神輿(みこし)も祗園神事にそっくりです。
観光にはよい時期ですが、非常に暑い日もあります。
外出時には天気予報を確認して暑さ対策を心がけてください。
お体ご自愛専一の程
筆者敬白