■5月24~26日 山形、鶴岡天満宮「化けものまつり」です。■
「化けものまつり」は、山形県庄内地方の南部に位置する鶴岡市の「鶴岡天満宮(つるおかてんまんぐう)」の「天神祭」のことで、毎年5月25日を中心に行なわれます。編み笠と手ぬぐいで顔を隠した「化けもの」が無言で酒を振る舞う、鶴岡伝統の奇祭です。
鶴岡天満宮の御祭神は「菅原道真(すがわらのみちざね)公」です。旧県社。勧請の時期ははっきりしません。文化2年(1805)に藩校「致道館(ちどうかん)」が創設されるなど、庄内藩士のあいだに学問が盛んになると、学問の神様道真公を崇める「天神信仰」も隆盛し、「天神祭」も規模が大きくなったとされています。
現在、「天神祭」は、顔を深編笠で隠した「化けもの」が道行くひとに無言で酒をふるまうことから「化けものまつり」と呼ばれています。この奇妙な出立ちと所為は、その昔、道真公が九州大宰府に配流されることが決まったとき、道真公を慕う人びとが、藤原時平(ふじわらのときひら)らに憚って、姿を変え顔を隠して会いに行き、密かに酒を酌み交わして別れを惜しんだという言い伝えによるものです。
「化けもの」は、編み笠をかぶり、目から下は手ぬぐいで隠して、派手な模様の長襦袢に角帯を締め、尻をからげて手に徳利と杯を持つという姿で、見ただけでは男女の区別もつきません。化けものたちは、問答無用とばかりに道行くひとに酒を勧め振る舞います。化けものは決して口をきいてはならず、口をきかずに祭りに3年参加し続けると願いが叶うのだとか。
天満宮では天狗舞が奉納され、道真公や手踊りのパレードが市内を練り歩くなど様々な催しが行なわれます。
鶴岡天満宮
◇山形県鶴岡市神明町3-40
◇JR「鶴岡駅」バス15分
◇山形自動車道「鶴岡IC」車10分
◇日本海東北自動車道「鶴岡西IC」車15分
◆「鶴岡天神祭(化けものまつり)」(つるおか観光ナビ):https://www.tsuruokakanko.com/spot/2066
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
この時期、天満宮や天神様のお祭りが続きます。菅原道真公が政敵に敗れて、太宰府に赴任することが決まった頃が祭礼の謂れです。遠く距離は離れていても、道真公に教え導かれた人びとが、感謝を祭礼のかたちで残したものが数多く見受けられます。公の施した公徳の大きさが伺えます。
筆者敬白