■4月13日 京都、嵯峨虚空蔵「春の十三まいり」です。■
「十三まいり(じゅうさんまいり)」は、陰暦3月13日、数え13歳になった子どもが「虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)」に詣出て、丈夫で福徳に恵まれた大人になることが出来るよう祈願する風習です。「十三講参り」とも。現在は月遅れの新暦4月13日に行なわれます。13日は虚空蔵の「縁日」にあたり、13歳はこれに因んだ行事です。
13歳は元服(げんぷく)の儀と重なり、人生の転機として、そして通過儀礼として大切にされてきました。とくに近畿地方や東北地方南部で盛んです。
「虚空蔵」は、虚空がすべてを蔵するように、無量の知恵と福徳をそなえるという意味で、虚空蔵菩薩は人びとにこれらを与えて、願いを満たし救うといいます。十三まいりが虚空蔵菩薩に知恵と福徳を授けていただくということから「知恵まいり」「智恵もらい」ともいいます。
また、数え年の13歳は誕生年の干支がひと巡りして初めて還ってくる節目の歳で、「厄年」でもあることから、厄除けの意味も含みます。
「嵯峨の虚空蔵さん(さがのこくうぞうさん)」で知られる「法輪寺(ほうりんじ)」は、名勝「嵐山(あらしやま)」の中腹に位置する寺院で、山号は智福山。宗派は真言宗五智教団に属します。奥州会津の柳津(やないづ)「円蔵寺(えんぞうじ)」、伊勢の朝熊山の「金剛證寺(こんごうしょうじ)」とともに「日本三大虚空蔵」のひとつ。古くは『今昔物語集』『枕草子』『平家物語』などにもその名が登場し、知恵、芸事の上達、丑寅年生まれの守り本尊として信仰を集めます。
参拝のはじめ、半紙に自分が大切にしている漢字一文字を毛筆でしたためます(命・心・美・雅など)。それを虚空蔵菩薩に供え祈祷を受け、お守りと供物が授与されます。帰宅後は親に感謝を述べ、家族で供物を頂き、成長を祝います。
参詣から帰る途中に後ろを振り返ると、せっかく授かった智恵を返さなければいけないと言われ、渡月橋(とげつきょう)を渡り終えるまでは後ろを振り向かないのが習わし。それによって弘法大師(空海)が飛躍的に記憶力を増大させたとの伝説もあります。江戸時代の中頃から京都のみならず近畿一円からのお参りが一般に広がりました。
難波より 十三まゐり 十三里 もらひにのほる 智恵もさまざま
桜の満開の季節、着飾った子どもたちで賑わいます。現在では中学入学のお祝いとして定着しています。親戚縁者に紅白饅頭などで内祝いをします。男子は紋服に袴、女子は模様紋附に丸帯を正装とします。女子はこの時はじめて化粧をしてもらいます。
法輪寺(嵯峨の虚空蔵さん)
◇京都府京都市西京区嵐山虚空蔵山町
◇JR「京都駅」~バス「嵐山バス停」
◇京福電鉄「嵐山駅」より500m
◇公式サイト:https://www.kokuzohourinji.com
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
親はいつの時代も、子どもの成長と将来の幸せを願っています。近年、親のネグレクトや暴力で幼い子どもが命を落としたり怪我を負ったりする事件がしばしば報道されます。稀なケースだと考えてはいけません。ストレスから子どもを虐待する親も少なくありません。
世の中、どこかが間違った方向に進んでいるのだと感じます。普通の神経では当たり前に生きられない今の社会が、問題のない社会だとは決していえません。子どもの健やかな成長を皆が願うような社会にしたいものです。
季節の変わり目です。皆様、時節柄お体ご自愛専一の程
筆者敬白