■3月1~7日「春の全国火災予防運動」です。■
3月1日、恒例の「春の全国火災予防運動」が始まります。3月1日から7日までの7日間、実施されます。
全国火災予防運動は火災予防の意識を一層高めるとともに、火災の発生・拡大を防止し、火災から尊い生命と貴重な財産を守ることを目的としています。全国各地で消防署員や地元消防団員による建物への立入査察、住宅防火診断、防火講演会、防災訓練などが行われます。
◆火災予防の歴史

1666年(日本では寛文6年、徳川家綱の時代)、イギリス、ロンドン市の約4分の3を焼失する大火「ロンドン大火」が発生しました。時のイングランド国王チャールズ2世は都市の近代化と災害の撲滅のために法を整備をし、街路の拡幅や木造建築の禁止(家屋をレンガ造りや石造りにすること)を行ないました。その一方、この大火を契機に火災保険制度が生まれました。ロンドン大火は近代的な防火体制や火災保険制度を生む契機となったことから、「偉大なる火事 The Great Fire」と後世称賛されるようになります。
アメリカでも19世紀後半、木造建築の増加に伴い大規模な都市火災が続きました。1871年(明治3~4年)のシカゴ大火、翌1872年のボストン大火、1874年には再びシカゴを大火が襲いました。さらに1906年(明治39年)に起きたサンフランシスコ地震で起きた大火災は3日間燃え続け、地震による倒壊と火災での焼失で22万人以上の市民が家を失いました。アメリカでは、火災についての科学的研究に取り組み、「火災性状」を解明、防火体制を確立しました。火災性状の研究とは、燃えている物が何かなどの諸条件のもとで、燃え拡がり方、火炎の形状・温度などを調べ数量的に予測できるよう理論にまとめることです。
◆火災予防運動
明治44年(1911)10月9日合衆国全土で初めて「火災予防デー」が行なわれました。これがアメリカでの「火災予防運動」の始まりです。

日本では、大正15年(1926)9月に、明治神宮外苑の日本青年館で初めて全国消防組組頭大会が開かれ、アメリカの例にならいわが国でも全国一斉に「防火デー」を設けようと提案されました。その後、昭和2年(1927)に発生した北丹後地震では、人的被害や建物倒壊だけでなく火災による焼失家屋も非常に多く、このことが防火防災の意識が社会全体に浸透するきっかけになりました。昭和5年(1930)大日本消防協会が、近畿地方で第1回防火運動を実施。以降、防火運動を行なう自治体が増えていきました。終戦の年、昭和20年(1945)、GHQの指示により、アメリカと同じ10月21日からの1週間、全国一斉に火災予防運動を行ないました。
現在、春の火災予防運動は3月1~7日に、秋の火災予防運動は11月9~15日に行なわれます。秋の火災予防運動の開始日11月9日は「119番の日」にちなんでいます。期間中、総務省消防庁から示される実施要綱に基づき、各自治体がそれぞれの特殊性を考慮して実施します。
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
福井の「左義長祭り」や東大寺の「二月堂修二会」などこの時期に火祭りが続きます。陰陽五行説では金気と火気、火剋金。火を使い金属を剋する(剋する:コントロールする)とあります。
ともあれ皆さん、いつまでもあると思うな「親」と「金」、ないと思うな「運」と「災難」です。近年の災難といえば地震、津波、豪雨、豪雪、竜巻といった自然災害のほか、泥棒やサイバー犯罪などいろいろありますが、まずは火災予防です。昔「火廻要慎」、今「火の用心」、今も昔もお出掛け前の火の始末!
『火の用心 ことばを形に 習慣に』
筆者敬白