2024.11.21
11月
雑節・歴注・撰日

令和6年(2024)11月29日「三の酉(さんのとり)」です。

■11月29日「三の酉(さんのとり)」です。■

「酉の市(とりのいち)」は、11月の酉の日に行われる鷲神社(おおとりじんじゃ)の祭礼に立つ市を指し、「おとりさま」と呼ばれ親しまれています。正式には酉の市と書いて「とりのまち」と読み、「酉の祭(とりのまち)」「大酉祭」とも。

最初の酉の日を「一の酉」、次の酉の日を「二の酉」、その次を「三の酉」といいます。

令和6年(2024)の酉の市
・「一の酉」11月5日(火)
・「二の酉」11月17日(日)
・「三の酉」11月29日(金)

長い歴史を持つ神祭「酉の市」は、春(正月)を迎える神事祭礼で、来る年の開運、授福、殖産、除災、商売繁昌をお祈りするお祭です。開催時間は午前0時~午後24時まで。午前0時の一番太鼓と共に市が始まり、丸一日間執り行われます。

鷲(わし)は獲物を「ワシヅカミ」にします。その爪を模したものが「熊手(くまで)」とか。酉の市では、熊手、おかめ、入り船などが「福徳をかき集める」「福をとり(酉)こむ」「かきこむ」「はきこむ」という招福の縁起物(えんぎもの)として売られます。

境内は「縁起熊手」を求める人で賑わいます。熊手商と「買った負けた」とのやり取りを楽しんだあと、商談が成立すると威勢よく「手締め」が打たれます。気に入った熊手を見付け、その金額をまけさせ、その分を店側に「ご祝儀」として渡すのが粋な買い方。手締めはこのご祝儀に対して行われます。結局のところ定額を支払っていることになるわけですが…。はじめは小さな熊手を求め、年々大きくしてゆきます。

現在、酉の市は関東地方の多くの寺社で行われています。酉の市発祥の由来は、神道と仏教のそれぞれで伝わります。「江戸酉の市」発祥の神社といわれる「大鷲神社(おおとりじんじゃ)」(東京都足立区)には、応永年間(1394~1428)より日本武尊(ヤマトタケルノミコト)の命日とされる11月「酉の日」に、尊への神恩感謝の祭が行われるようになり、それが門前市となって「とのまち」「とりのまち」と呼ばれ農耕具などが売られるようになったのが「酉の市」の起源と伝わります。

<江戸酉の市の発祥の神社>
●花畑 大鷲神社(はなはた おおとりじんじゃ)
◇東京都足立区花畑7丁目16番8号
◇つくばエクスプレス「六町駅」~東武バス花畑団地循環「花畑六丁目」徒歩8分
◇東武スカイツリーライン「谷塚駅」~東武バス花畑桑袋団地行き「草加記念体育館」徒歩8分
◇公式サイト:https://ootori-jinja.or.jp

 

かたや、「浅草酉の市」発祥の寺とされる「長國寺(ちょうこくじ」(東京都台東区)では、開山当時より11月酉の日に、大本山鷲山寺(じゅせんじ)の鎮守である「鷲妙見大菩薩(わしみょうけんだいぼさつ、鷲大明神)」出開帳(でがいちょう)が行われ、その日は多くの参詣者で賑わい、門前市が立つようになったのが、やがて「酉の市」に発展したと伝わります。

<浅草酉の市発祥の寺>
●酉の寺 鷲在山 長國寺(とりのてら じゅざいさん ちょうこくじ)
◇東京都台東区千束3-19-6
◇東京メトロ 日比谷線「入谷駅」「三ノ輪駅」徒歩約10分
◇公式サイト:https://otorisama.jp

 

日本最大の酉の市「浅草酉の市」は、「酉の寺 長國寺」の「鷲妙見大菩薩」ご開帳の法要で始まります。
23時55分:半鐘が打ち鳴らされ本堂へ入堂。本堂前には参詣者が集まります。
酉の日 午前0時:カンカンと半鐘が鳴り、ドドーンと響く一番太鼓を合図にご開帳の読経が始まります。「鷲妙見大菩薩(おとりさま)のご開帳」です。
住職が宝剣を振り、本堂内を浄めた後、本堂前に集まった参詣者に宝剣を振り、祭りに関わる一切の難を祓って安全を祈念します。
白装束の僧侶「祈祷師」たちによる大迫力の「開運招福の祈祷」の後、熊手商の音頭で参詣者全員が威勢のよい開運手締めを打ちます。多いときには1000人を越す人が集まります。
0時15分:札場が開かれると「十番札」と呼ばれる10本限定の「かっこめ熊手守り」を授与。いよいよ市が始まります。
鷲妙見大菩薩ご開帳の間、特別祈願の祈祷を終日行っています。祈祷のあと「開運のお札」を受け、客殿で赤飯と煮〆の軽い「お斎(おとき)」を頂きます。
24時:「ご閉帳の法要」が執り行われ、鷲妙見大菩薩が安置される厨子の扉が静かに閉じられます。酉の市の終了です。

<関東三大酉の市>

●浅草 鷲神社 酉の市(あさくさ おおとりじんじゃ とりのいち)
鷲神社
◇地下鉄「入谷駅」徒歩約7分、「田原町駅」徒歩約15分
◇東武線、地下鉄浅草線・銀座線「浅草駅」徒歩約15分
◇つくばエクスプレス「浅草駅」徒歩約8分
◇JR「鴬谷駅」徒歩約20分
◇公式サイト:https://otorisama.or.jp
◆浅草鷲神社酉の市:https://www.asakusa-torinoichi.tokyo

 

●大國魂神社 大鷲神社例祭 酉の市(おおくにたまじんじゃ おおとりじんじゃ れいさい とりのいち)
大國魂神社
◇東京都府中市宮町3-1
◇京王線「府中駅」徒歩5分
◇JR南武線・武蔵野線「府中本町駅」徒歩5分
◇公式サイト:https://www.ookunitamajinja.or.jp

 

●新宿 花園神社 大酉祭(しんじゅく はなぞのじんじゃ おおとりまつり)
花園神社
◇東京都新宿区新宿5-17-3
◇東京メトロ丸の内線・副都心線・都営新宿線「新宿三丁目駅」徒歩0分
◇JR・小田急線・京王線「新宿駅」徒歩7分
◇公式サイト:http://hanazono-jinja.or.jp

◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆

俗に「三の酉がある年は火事が多い」といいます。これは、この時期から寒くなり火事が増えるため「火の用心」を促す趣旨でいわれていたのでしょう。
また、「火事が多い」のほかに「吉原に異変がある」ともいわれていました。浅草の鷲神社の東隣りには新吉原があって、酉の市の日には特別に吉原の大門(おおもん)以外の通用門から出入りでき、辻賭場も開かれるなど、ほろ酔い機嫌のお大尽や賭けで負けておけらになった男たちで通りがあふれかえったそうです。そこで女房たちは、酉の市参詣を口実に遊びに出かける旦那衆に「火事が多い」「異変が起きる」などとおどかして家に引きとめようとしたそうです。
気候の面でも人心の面でも油断が生じて火事が起きやすい季節です。
読者の皆様もくれぐれも火の元にはお気をつけください。
筆者敬白

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