■11月25日「憂国忌」です。■
「憂国忌(ゆうこくき)」は、三島由紀夫の忌日です。「三島由紀夫(みしまゆきお)」は、東京生まれの小説家、劇作家。また右翼思想家。本名は、平岡公威(ひらおかきみたけ)。
大正14年(1925)1月14日、東京市四谷区永住町(現在の東京都新宿区四谷)に、平岡梓と倭文重の間に長男として生まれました。「公威(きみたけ)」の名は、祖父・定太郎の命名。
代表作は、小説に『仮面の告白』『禁色』『潮騒』『金閣寺』『豊饒の海』四部作など。戯曲に『サド侯爵夫人』『わが友ヒットラー』『近代能楽集』など。美に最高の価値を認める唯美的な作風が特徴です。
昭和45年(1970)11月25日、「楯の会」の会長として陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地内、東部方面総監部の総監室を、森田必勝ら楯の会メンバー4名と共に訪れ、隙を突いて益田兼利総監を人質に取り籠城。バルコニーから檄文を撒き、自衛隊の決起・クーデターを促す演説をするも失敗し、後に割腹自殺を遂げました(三島事件)。45歳没。
筆名の「三島」は、日本伝統の三つの島の象徴、静岡県三島の地名に由来。決起当日の朝、担当編集者の手に渡った『豊饒の海』第四部「天人五衰」最終話、日付は11月25日と記載され、これが最後の作品となりました。
戒名「彰武院文鑑公威居士」。忌日は「憂国忌」と呼ばれ、三島由紀夫研究会などにより偲ぶ集いが行われます。
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
三島由紀夫の最高傑作はとの問いに『金閣寺』を挙げる方が多いそうです。社会的背景を織り込んだ作品でことばの流れが美しく、日本語をここまで美しく表現できる文学、作家があるのか!との評価が多いようです。
川端康成翁がノーベル文学賞を受賞した時に、三島はワインを持ってお祝いに出向いたそうです。川端はインタビューで自身の受賞を「三島由紀夫君が若すぎるということのおかげ」と答え、実際に三島も候補者リストに名を連ねていたとのこと。
◆三島由紀夫研究会:https://mishima.xii.jp
研究会のウェブサイトに「憂国忌趣意書」があります。ご興味のある方は必見です。
筆者敬白