■11月10日「十日夜(とおかんや)」です。■
「十日夜(とおかんや)」とは、旧暦10月10日の夜に行なわれる行事のことです。主に北関東を中心に甲信越から東北地方南部の広い地域で、稲刈りが終わった旧暦10月10日、田の神が山へ帰っていくのを送り、秋の収穫を祝う風習が残っています。新米でついた餅や柿、栗、穀類など秋の収穫物を供えて収穫を感謝し、無病息災を祈ります。
長野では、十日夜の日に「かかし(案山子)」を田の神の依代(よりしろ)として祀り、お供え物をします。「かかしあげ」とも。かかしに蓑笠を着せ、箒(ほうき)・熊手を両手に持たせ,餅や二股大根を供えて祀ります。この日は、かかしの神が天に上る日であるとか、あるいは、かかしが田の守りを終えて山の神になる日なのだと伝わります。
十日夜は、西日本の「亥の子(いのこ)」と同じく、旧暦10月10日に行なわれる「刈り上げ行事(稲刈りの終わりを祝う稲作儀礼のひとつ)」で、「刈り上げ十日」ともいわれます。
また、十日夜にはお月見の習慣がありました。旧暦8月15日「十五夜」、旧暦9月13日「十三夜」とともに「三月見(さんつきみ)」ともいわれ、3夜すべて晴れると良いことがあると伝わります。
この月見の風習が行われていたのは、埼玉・群馬・栃木などの東日本地域。十日夜には里芋の茎を芯にして稲藁を束ねた「藁苞(わらづと)」と呼ぶ槌(つち)を子どもたちが持ち「とーかんや、とーかんや。宵飯食って、ぶったたけ」と囃子文句を唄いながら、藁苞で地面を叩いて集落の各戸を廻ります。
地面を叩くのは、地表の土を盛り上げて作物を荒らすモグラを追い払うため。一年の収穫を終え、気が衰えた大地、土地の神様を励ます意味もあるようです。
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
もともとお月見の日だったのを、子どもたちも参加できる風習として伝わったようです。世間ではクリスマス商戦が本番! 11月下旬、これから年末年始の世知辛い日々です。こんな時期だからこそ、のんびり月見などしたいものです。
時節柄、お体ご自愛専一の程
筆者敬白