■11月8日 京都、伏見稲荷「火焚祭(ふいご祭)」です。■
「伏見稲荷大社(ふしみいなりたいしゃ)」は、主祭神に「宇迦之御魂大神(うかのみたまのおおかみ)」を祀る神社で、全国4万社ある稲荷神社の総本宮です。「佐田彦大神」「大宮能売大神」「田中大神」「四大神」を配祀。式内社(名神大)、二十二社の上七社の一社で旧社格は官幣大社。
創建は和銅4年(711)渡来人の秦氏が農耕神として祀ったのがはじまりと伝わります。現在では商売繁昌の神様として崇められ、初詣では近畿地方の社寺で最多の参拝者を集め、年中多くの参詣者が訪れます。
秀吉の寄進と伝わる楼門(ろうもん)、「稲荷造」と呼ばれる華麗な彫刻が見られる本殿は大変に美しく、奥社までの「千本鳥居」と呼ばれる鳥居のトンネルが有名です。
◆火焚祭(ふいご祭)
秋の収穫後、五穀の豊饒を感謝する祭り「火焚祭(ひたきさい)」は、万物を育てたもう稲荷大神のご神恩に感謝する祭典で、古来より伝統ある行事として広く知られます。
伏見稲荷代謝の「火焚祭」は、俗に「ふいご祭」と呼ばれ、各地で行われる火焚の中でも特に有名です。稲荷神社は鍛冶の守護神とされ、鍛冶屋・鋳物屋など火を使う職業の人々の信仰をも集めます。「ふいご(鞴、吹子)」は、火をおこしたり強めたりするために風を送る道具のことで、古代より金属の精錬や加工に使われていました。
もともと御火焚(おひたき)は江戸時代から京都を中心に行われてきた神事で、「ほたけ」「おほたけ」ともいいます。平素の罪や穢れを祓い心身を清めるため、参拝者は「火焚串」を奉納します。
本殿で神事が執り行われたのち、神苑斎場にて全国崇敬者から奉納された数十万本の「火焚串」を焚きあげます。火の持つ霊力によって願いが叶うといわれます。宮司以下神職をはじめ参列者一同、大祓詞を奉唱して、罪障消滅、万福招来を祈ります。
伏見稲荷大社
◇京都市伏見区深草藪之内町68
◇JR「稲荷駅」下車すぐ
◇市バス「稲荷大社前」下車 徒歩約7分
◇京阪電車「伏見稲荷駅」下車 徒歩約5分
◇公式サイト:https://inari.jp
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
毎年11月8日になると、火造り場の火を落として、しめ縄を張り、ふいごの横にお神酒や鯛や野菜やみかん、そして炎の形の焼印を押した紅白まんじゅうをお供えしました。お赤飯を炊いて、紅白まんじゅうとみかんを添えて工場周辺のご近所に配ります。ふいご祭りを「おひたきさん」と呼んでいました。
御火焚祭は、鋳物師や鍛冶屋にとっては、ふいご祭と同化していたのです。とくに京都では、稲荷信仰と重なりあって、火造り場には火の神さまである愛宕神社のお札と、お稲荷さんの神棚が並んで祀られました。
炎の力を利用した鍛冶職人が炎に感謝して長い間、お祭りしていたようです。最近では、仕事に感謝の祈りができる方が減ってきています。社会に役立つ仕事に誇りを持ちましょう。
読者の皆様、お体ご自愛専一の程
筆者敬白