■8月14~15日 奈良、春日大社「中元万燈籠(ちゅうげんまんとうろう)」です。■
「春日大社」は、奈良公園内にある神社で、名神大社式内社、二十二社の一社、旧社格は官幣大社。全国の春日大社の総本社です。春日大社は「平城京の守護」のために創建されました。
本殿向って右から、
第一殿・茨城県の鹿島神宮から迎えた「武甕槌命(たけみかづちのみこと)」
第二殿・千葉県の香取神宮から迎えた「経津主命(ふつぬしのみこと)」
第三殿「天児屋根命(あめのこやねのみこと)」と
第四殿「比売神(ひめがみ)」は大阪府の枚岡神社から
それぞれ春日の地に迎えて祀られています。
四神をもって藤原氏の氏神とされ、「春日神」と総称されます。また、武甕槌命(たけみかづちのみこと)が白鹿に乗ってやって来たとされることから、鹿が神使とされています。
万燈籠は約800年も昔から行われて来た行事です。境内3000基の燈籠は、藤原氏をはじめ広く一般から奉納されたものです。燈籠には崇敬者が願いを書いた和紙が貼ってあり、万燈籠の日の参列者が浄火を入れます。
昔は毎晩すべての燈籠に火が入っていましたが、明治時代頃は人手と油料が途絶えて点灯が不可能になったこともあります。油料の寄付を集め、必死に伝統を守ろうとした形跡を残す資料が残っています。
年に2回、2月の「節分万燈籠」と8月の「中元万燈籠」が行われます。
この日、境内の全ての燈籠に火が入れられます。石燈籠が整然と並ぶ二ノ鳥居から神苑付近、そして釣燈籠が並ぶ朱塗の回廊などは王朝絵巻を見るようで、しばし幽玄の世界へ導かれます。
◆献灯をしたい方:事前に献灯紙を求め、住所氏名を書いて神社に送ります。石燈籠に貼られた名前が灯明で浮かびあがります。
春日大社
◇奈良県奈良市春日野町160
◇バス「春日大社本殿」下車、または「春日大社表参道」徒歩10分
◇公式サイト:https://www.kasugataisha.or.jp
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
「室町時代や江戸時代には、奈良町の住人が春日参道で、雨乞い祈祷としての万燈籠を行っていました。記録には、興福寺大乗院の尋尊僧正の日記で、今から500年余り前の文明7年(1475)7月28日、「祈雨のため、南都の郷民、春日社頭から興福寺南円堂まで、燈籠を懸く」とあり、当時は木の柱に横木をつけ、それに行燈か提灯の様な手作りの仮設の燈籠を懸け行っていたと考えられます。故に浄火を献じて神様に様々な祈願をすることが万燈籠です。(春日大社公式サイトより)」