■8月7日「鼻の日(はなのひ)」です。■
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会では、昭和36年(1961)以来毎年8月7日を「鼻の日」と制定して鼻疾患に対する啓発を行っています。
当時、多かったのは副鼻腔炎(ふくびくうえん:ちくのう症)の患者です。今は、
・アレルギー性鼻炎
・副鼻腔炎
・嗅覚障害
・肥厚性鼻炎(ひこうせいびえん:慢性鼻炎の一種で鼻づまりや嗅覚障害を起こす)
・鼻中隔弯曲症(びちゅうかくわんきょくしょう:鼻中隔(鼻の真ん中を分ける壁)が強く曲がっているために鼻づまりや鼻血を起こす)
など、多くの人々がこのような鼻の病気にかかって悩んでいます。しかし、薬剤の進歩や内視鏡手術の普及により治癒率は向上しています。
鼻の病気といえば、「スギ花粉症」で、これはアレルギー性鼻炎の一種です。近年さらに患者が増え、「国民病」とまでいわれるようになってきました。
鼻の病気になると、耳や喉、肺などの病気にかかりやすくなります。また、「いびき」をかいたり「口呼吸」をするようになるため、「睡眠時無呼吸症候群」との関連も指摘されています。
◆鼻の病気とQOL(Quality of life 生活の質)
鼻は上気道(鼻から喉までの気道)の入り口にあって、呼吸と嗅覚の機能を担う重要な器官です。
鼻の病気のせいで、学業や仕事の能率が落ちることがあります。
また、「食べ物の腐った匂い」「ガス漏れの匂い」「煙や焦げ臭い匂い」に気付けないのは、日常生活を送るうえでとても危険です。
そして、嗅覚と味覚は密接に関連していて、嗅覚に異常をきたすと味覚にも影響が出てきます。鼻に異常があり「食事の匂いや味がわからない」「食事がおいしくない」状態(風味障害)が続くのは、体と心の健康によくないのは明らかです。
鼻の病気は多くの場合、命にかかわるものではありませんが、QOL(生活の質)を大きく下げてしまいます。つまり、生活の充実感や人生の幸福にかかわる病気なのです。
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
年をとると、耳が遠くなるだけではなく、匂いを感じる力も弱くなるそうです。高齢者の嗅覚機能の低下は、本人も自覚しにくく、周囲の人もなかなか気付けません。嗅覚機能の低下に気づいたら、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。今はいろいろな治療法があります。治療を始めるのが早ければ早いほど、よりスムーズな回復が期待できます。
読者の皆様、お体ご自愛専一の程
筆者敬白