2024.07.10
7月

令和6年(2024)7月14日 熊野、那智大社「扇祭り」です。

■7月14日 熊野、那智大社「扇祭り」です。■

「那智の火祭(なちのひまつり)」は、正式には「扇会式(おうぎえしき)」といいます。「扇祭り(おうぎまつり)」とも。毎年7月14日に行なわれる「熊野那智大社」の例大祭のことで、豪壮な松明の燃え盛る御火の神事から「火祭り」と名付けられました。

この祭は、御遷宮御鎮座を偲ぶ神事、神霊を振い起す神事、万物の生成発展を祈る神事です。

別宮「飛瀧神社(ひろうじんじゃ)」の参道で行なわれる御火神事で使われる大松明の重さは約50kg、桧の割板を桶のように輪締めにしたもので、12体奉製されます。

祭の主体「扇神輿」は、幅1m、長さ6m程の細長い框(かまち)に、赤緞子(どんす)を張り、金地に朱の日の丸を描いた扇を組み合わせ、9ヶ所に計32本、白銅鏡八面、それに「光」「蝶の鬚」「緑松」「桧扇の花」などを飾り付けます。それは「那智の大滝」を表しています。

神武天皇が熊野灘から那智の海岸「にしきうら」に上陸したとき、那智の山に光が輝くのを見て、この大瀧をさぐり当てたとか。これを神として祀り、その御守護のもと、八咫烏(やたがらす)の導きによって無事大和へ入ったと伝わります。

命の根源である水が豊富にあふれ落ちる「那智大滝」を、熊野に住む人々も神武天皇御東征以前からすでに神として奉祀されていたとも伝わります。つまり、滝自体が御神体です。古代よりこの大滝を「神」としてあがめ、そこに国づくりの神である「大巳貴命」(大國主命)を祀り、また、親神である「夫須美神」(伊弉冉尊)が祀られます。

全国から沢山の人々が熊野を目指すさまは「蟻の熊野詣」と言われるほど。皇室の尊崇厚く、延喜7年(907)宇多上皇の御幸をはじめ、後白河法皇は34回、後鳥羽上皇は29回もご参詣の旅を重ねられたほどです。また花山法皇は千日(3年間)の滝籠りをなされたという記録が残っています。

「熊野」という地名の語源は「隈の処」から。ここは奥深い処「神秘の漂う処」といいます。「クマ」「カミ」と同じ語で「神の野」に通じる地名ということにもなります。
その「神の里」に詣で、漂う霊気にひたり、神々の恵みを得ようと、古代から多くの人々が熊野、那智山へ参詣してきました。

熊野那智大社
◇和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山1
◇JRきのくに線「紀伊勝浦駅」からバス「那智山」下車 徒歩約15分
熊野那智大社:https://kumanonachitaisha.or.jp

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