7月1日「社会を明るくする運動」強化月間です。
「社会を明るくする運動」とは、すべての国民が犯罪や非行の防止と犯罪や非行をした人たちの更生について理解を深め、それぞれの立場において力を合わせ、犯罪や非行のない安全で安心な明るい地域社会を築くための全国的な運動です。
昭和24年(1949)7月1日、「犯罪者予防更生法」が施行され、更生保護制度が新たにスタートしました。そのとき、東京・銀座の商店街の有志が街にあふれていた戦災孤児のために「犯罪者予防更生法実施記念フェアー(銀座フェアー)」を開催しました。
厚生省の児童局(昭和22年(1947)新設)の「全国孤児一斉調査(1948年2月現在)」によると、当時、孤児の総数は約12万3,000人、そのうち戦災孤児は約28,000人、引揚孤児は約11,000人でした。浮浪児たちへの救済はほとんどなく、子どもたちは置き引きやスリなどの犯罪に手を染めるケースも多かったそうです。
「銀座フェアー」に続き、翌昭和25年(1950)年7月1日から10日まで「矯正保護キャンペーン」が全国的に実施されました。
昭和26年(1951)年、法務府(現在の法務省)は、「銀座フェアー」と「矯正保護キャンペーン」を通じて、犯罪の防止と犯罪をした人たちの立ち直りには一般市民の理解と協力が不可欠だとして、この啓発活動を「社会を明るくする運動」と名付け、国民運動として世に広げることにしました。
現在、新名称「社会を明るくする運動 ~犯罪や非行を防止し、立ち直りを支える地域のチカラ~」が定められ、この運動によって、犯罪や非行のない地域をつくるために、一人ひとりが考え、参加するきっかけをつくることを目指します。
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
戦後、孤児たちの犯罪・再犯を防ぎ、立ち直りの環境を整えようとした大人たちがいました。彼らの運動は治安の改善に繋がると同時に、不穏な社会情勢のなかで明るい希望を感じさせるものでした。
現在、保護司やBBS会(非行少年の立ち直り支援を行う)、協力雇用主などのかたちで更生保護活動に参加する人びとが地域にはたくさんいます。
人間には立ち直る可能性が無限にあります。長い目で見守ることが肝要です。
筆者敬白