■5月18~19日 大津、三井寺「千団子祭(せんだんごまつり)」です。■
天台寺門宗の総本山「園城寺(おんじょうじ)」は、一般に「三井寺(みいでら)」と呼ばれます。山号は長等山(ながらさん)と称し、開基は大友与多王、本尊は弥勒菩薩。平安時代、第五代天台座主・円珍和尚(智証大師)によって天台別院として中興されました。
高野山明王院の「赤不動」、青蓮院の「青不動」とともに「日本三不動」のひとつである「黄不動」で著名な寺院で、観音堂は西国三十三箇所観音霊場の第14番札所。近江八景のひとつ「三井晩鐘(みいのばんしょう)」でも有名です。
「園城(おんじょう)」という寺号は、飛鳥時代の皇族・大友与多王(よたのおおきみ)が、自分の「荘園城邑」(田畑屋敷のこと)を投げ打って一寺を建立しようとする志に感じて、天武天皇が名付けたものと伝わります。
「三井寺(みいでら)」の通称は、この寺に涌く霊泉が、天智・天武・持統の三代の天皇の産湯として使われたことから「御井(みい)」の寺と言われていたものが転じたものです。
◆千団子祭
「千団子祭(せんだごまつり)」は、三井寺の守護神「鬼子母神」の祭礼です。千個の団子を供えることから「千団子祭」と呼ばれ、600年以上続く伝統的な祭礼として大津の人々に親しまれています。
「鬼子母神(きしもじん・きしもしん)」は、従来、人間の子を奪い食する悪鬼でしたが、釈迦がこれを聞き、母神の子を鉢で隠したところ、狂髪、啼哭して悲しみました。「千人もの子どもがいてさえ、その中のひとりでもいなくなれば悲しむのに、人間の子どもを奪って食べれば、その子の親はどんなに悲しむことだろう」と釈尊が慈愛を垂れたところ、鬼子母神は深く懺悔して仏法を守護し、子どものない人には子どもを授け、病気を癒し、一切の障碍から子どもを守ることを誓いました。以後、善女神になったといわれています。
柘榴(ざくろ)は鬼子母神の供養として供えられ、子どもの無事成長、無事安産を祈願します。放生池では亀の放生が行なわれます。
三井寺
◇滋賀県大津市園城寺町246
◇JR東海道本線(琵琶湖線)「大津駅」バス
◇名神高速道路「大津IC」湖岸道路経由約10分
◇公式サイト:http://www.shiga-miidera.or.jp
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
時代は違っても子を思う親の気持ちには、古今変わりありません。三井寺千団子祭を機会に鬼子母神の母心に触れましょう。
皆様、もうすぐ梅雨、季節の変わり目です。お体ご自愛専一の程
筆者敬白