◆二十四節気◆令和6年(2024)4月4日「清明(せいめい)」です。◆
令和6年(2024)4月4日16時02分「清明」です。旧暦3月、辰(たつ)の月の正節で、春分から15日目にあたります。天文学的には、太陽が黄経15度の点を通過するときをいいます。
清明は「清浄明潔(しょうじょうめいけつ)」の略。「万物ここに至って皆潔斎なり」と称し、春先の清らかで生き生きした様をいったものです。春気玲瓏(れいろう)にして、桜や草木の花が咲き始め、万物に清朗の気が溢れてきます。
暦便覧では「万物発して清浄明潔なれば、此芽は何の草としれるなり」とあり、草花の芽が出る頃とあります。また、招福暦では「万春の陽気満つ、桜花開くとき」と此芽を桜花としています。七福神と桜の相性がいいからかもしれません。
沖縄では、「清明祭(シーミー、ウシーミー)」という墓参の行事が行われます。墓前に一族縁者が集まり、お酒やお茶、お重に詰められた料理を供え、そのお下がりをいただくのがしきたりになっています。もとは中国から伝わった風習ですが、沖縄の習俗として定着しています。
中国の「清明節」では、祖先の墓を参り、墓掃除をする日とされ「掃墓節」が一般的です。また、春を迎えて郊外を散策する日であり「踏青節」などとも呼ばれます。
清明前に摘んだ茶葉を「明前茶」、清明から穀雨までに詰まれた茶葉を「雨前茶」、穀雨以降の茶葉を「雨後茶」といいます。清明節に近い時期に摘む茶葉は、特に香りと甘みがあり、高級茶葉の扱いをされます。
◆◆「七十二侯」◆◆
◆初候「玄鳥至」(げんちょう いたる:つばめ きたる)
◇玄鳥(つばめ)が毎年いつものように南からやって来る時節。玄鳥=つばめの異称。
◆次候「鴻雁北」(こうがん きたす)
◇雁が北へ渡って行く時節。鴻雁=渡り鳥のがん(鴻鴈)北する=北方へいく、かえるの意。
◆末候「虹始見」(にじ はじめて あらわる)
◇雨の後に虹が出始める時節。
◆◆「4月の花」◆◆
「桜」さくら Japanese cherry 薔薇(ばら)科サクラ属 原産国日本
学名:Prunus × yedoensis(染井吉野)/Prunus lannesiana var. speciosa(大島桜)/Prunus jamasakura (山桜)
日本の桜の8割以上が、薄いピンク色の花を付ける「染井吉野(そめいよしの)」です。白花でよく見かけるのは「大島桜(おおしまざくら)」。桜が満開で素晴らしい眺めのことを「桜花爛漫(おうからんまん)」といいます。
開花時期 4月1~10日頃。気象庁が発表する全国の桜の開花前線予想は、1日の平均気温が10度を超えたら「開花」とし、実際の開花宣言は各地の標本木の花の咲き具合をもとになされます。開花宣言から1週間ぐらいあとが見ごろです。
南北に長い日本の桜の開花時期は、3月中旬から6月中旬にかけて。新聞やテレビは、毎日、桜前線がどこまで北上したかを報じ、各地の桜の見どころを紹介します。
桜の霊「木之花咲耶姫(このはなさくやひめ)」が、最初の桜の種を富士山から撒き、「さくやひめ」の名から「さくら」になったと伝わります。「この花(桜)のように美しい姫」の喩え。
江戸時代、駒込の染井村から植栽が始められました。はじめは見事な桜の代名詞として「吉野桜」と呼ばれましたが、誕生地の「染井」の名を加えて「染井吉野」と呼ばれるようになりました。
「山桜」は、花が咲くのと葉が出てくるのがほぼ同時で、葉が茶色いのが特徴ですが、5月を過ぎると緑色の葉になります。「桜餅(さくらもち)」に使われるのは大島桜の葉。独特の香りは、若葉を塩漬けにしてクマリンという成分の香りを引き出すことで生まれます。これは防腐剤の役目。
「サクランボ」は、西洋桜などにしか実りません。ソメイヨシノなどの桜にも5月頃に赤い実がなりますが、サクランボより小さくて固いものです。日本の国花「桜」は、山桜のことです。他には「菊」。ソメイヨシノは東京都の花、富士桜は山梨県の県花です。
◇花言葉
桜……「優れた美人」「純潔」「精神美」「淡泊」「優美」など。
山桜……「あなたにほほえむ」
◆◆お花見◆◆
花見とは、桜の花を観賞するためにお弁当やお酒を持参して山野へ出かける行事のことです。もともとは3月3日「上巳の節句」と同じく、祓えのために山野へ出かける宗教的な儀式のひとつでした。期日も3月3日または4日と決められており、「花見の勧進」などという行事が行われていました。多くは4月8日を花見の日としていたようで、この日を「春の祭礼の日」とする社寺が多いことでもわかります。
奈良・平安時代には、花を見て歌を詠んだり、踊りに浮かれたりという楽しみがありました。宮中では連日花の宴が持たれ、歌を詠み、酒を酌み交わしていました。この時代に花を詠んだ歌が、数多く残っているのはこのためでしょう。
「花の色は 移りにけりな いたづらに 我が身世にふる ながめせし間に」小野小町(『古今集』『百人一首』)
江戸時代になると、花見は庶民のあいだにも広がっていきました。江戸中期、元禄時代には盛んに花見が行われるようになり、かくして江戸は「花のお江戸」となったのです。
東京で桜の名所といえば、上野公園、新宿御苑、千鳥ヶ淵(皇居)、隅田公園、飛鳥山、小金井公園、井の頭公園、荒川堤、向島、江戸川、明治神宮、靖國神社などです。
お花見につきものなのが、花見団子や桜餅。花見団子は、赤・白・緑の三色団子を串に刺したもの。桜餅は食紅で桜色に染めた餅を桜の葉で包んだものです。
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
今年も各地で桜が開き始め、満開になるのは平年よりもすこし早いそうです。皇居の千鳥が淵では、毎年、桜並木を全長700mのLEDでライトアップし実に幻想的な光景が浮かび上がります。今年も夜桜を観られることを嬉しく思います。
思い起こせば半世紀近く前、新入社員だった私の初仕事は、花見の場所取りでした。午前中から降っていた雨が夕方に止んだころ、桜並木がライトアップされたことを思い出します。
毎年のことですが、石神井公園や上野公園などで、マナーが悪くて近隣の住人に迷惑をかけたり、急性アルコール中毒で救急搬送されたりする人がいます。節度を持ってエコな花見を心がけましょう。
夜風は身体に毒です。夜桜見物でお風邪などお召しになりませんようお体ご自愛の程
筆者敬白