■3月15日「社日(しゃにち)」です。■
「社日(しゃにち)」とは雑節のひとつで、春分と秋分に最も近い「戊(つちのえ)の日」のことをいいます。春と秋の2回あり、春の社日を「春社(しゅんしゃ、はるしゃ)」、秋の社日を「秋社(しゅうしゃ、あきしゃ)」ともいいます。
「戊(つちのえ、ぼ)」は「土」の意。農家では春社は種蒔きの時期にあたり、秋社は収穫の時期にあたります。そのため社日は重要な節目の日とされるようになりました。
「社」は、生まれた土地の守護神である土地神さまの「産土神(うぶすながみ、うぶしなのかみ、うぶのかみ)」のこと。この日、産土神に参拝し、春には五穀の種を供えて豊作を祈り、秋には収穫のお礼参りをします。
地方によっては、土地神は春の社日に天から降り、秋の社日に天に帰るとされていて、春の社日に「春社地神降り(しゅんしゃじがみおり)」で、お社に滞在して、秋の社日には「秋社地神昇り(しゅうしゃじがみのぼり)」で、天に帰るとされています。
出雲地方では五角形の石柱に「社日」の記述が目立ちます。これは五角形を「五穀」や「五行」と解されていて土地からの恵みをあらわしたものです。
また、春の社日にお酒をのむと耳が良くなるという習いがあります。これを「治聾酒(じろうしゅ)」といいますが、その名の酒があるのではなく、単に春社に飲むお酒のことをいいます。
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
災害などで、よその土地に避難した方々も「生まれ育った土地に帰りたい」と口にします。
災害で荒れ果てた土地だとしても「産土神」の地元です。未曾有の大震災で命を落とした方も多いなか、生まれ育った土地、今日まで育まれた命に感謝したいものです。
読者の皆様、時節柄お体ご自愛専一の程
筆者敬白