■3月15日 清凉寺(嵯峨釈迦堂)「お松明式」です。■
「嵯峨釈迦堂(さがしゃかどう)」の名で知られる「清涼寺(せいりょうじ)」は、浄土宗の寺院で、中世以来「融通念仏の道場」としても知られます。宗派は華厳宗、後に浄土宗。本尊は釈迦如来。
開基は東大寺出身の僧「奝然(ちょうねん)」で、開山は弟子の「盛算(じょうさん)」。現在の本堂は、元禄14年(1701)徳川五代将軍網吉、その母、桂昌院、大阪の豪商泉屋(後の住友)吉左衛門らの発起により再建されたもの。本堂内には本尊「釈迦如来立像」及び「地蔵菩薩立像」を安置します。
◆嵯峨釈迦堂「涅槃会とお松明式」
毎年3月15日に行われる「お松明式(おたいまつしき)」は嵯峨野に長く伝わる壮大な火祭りです。昔から「雪の果ては涅槃」と言われるように、「涅槃会(ねはんえ)」の頃にその冬の降りじまいの雪が降ることから、嵯峨釈迦堂の涅槃会・お松明式といえば京都に春を告げる行事です。
3本の大松明は、高さ二丈一尺、二丈、一丈九尺。赤松と藤蔓で作られ、それぞれが稲の早稲(わせ)、中稲(なかて)、晩稲(おくて)を表しており、その燃え具合によって、その年の稲作の傾向を占います。午後7時頃、お堂では涅槃会の法要が営まれます。そのあと、お松明に点火、豪壮な火柱が立ち上ります。これは、釈迦を荼毘に付した様にあやかっているのだそう。
境内には露店が並び、狂言堂では伝統の「嵯峨大念佛狂言(さがだいねんぶつきょうげん)」が行われます。
本堂内には、三国伝来の御本尊「木造釈迦如来立像(もくぞうしゃかにょらいりゅうぞう)」(国宝)や涅槃図(ねはんず)などを拝むことが出来ます。涅槃図は、釈迦が横たわり、その周りを弟子、天部、王様から動物たちに至るまでが取り囲み嘆き悲しんでいる図です。
◆京都三大火祭り
春を告げる清凉寺(嵯峨釈迦堂)の「お松明式」は、夏の夜空に浮かぶ「五山の送り火」、京都の三大奇祭のひとつでもある秋の風物詩「鞍馬の火祭」とともに「京都三大火祭り」に数えられます。
清涼寺(嵯峨釈迦堂)
◇京都府京都市右京区嵯峨釈迦堂藤ノ木町46
◇京都バス・市営バス「嵯峨釈迦堂前」徒歩2分
◇JR嵯峨野線「嵯峨嵐山駅」徒歩15分
◇嵐電(京福電鉄)「嵐山駅」徒歩15分
◇阪急嵐山線「嵐山駅」徒歩20分
◇公式サイト:http://seiryoji.or.jp
◆嵯峨大念佛狂言保存会 公式サイト:http://www.sagakyogen.info
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
3本の巨大な松明が炎上する様は、壮観で神秘的でひと言で表現するのがむずかしいものがあります。お松明の炎にはとても深い安心感が感じられます。直前の天候や湿度、風の強さなど様々な条件が重なって、年によってはあまり燃えなかったり、よく燃えたりするそうです。
お出かけの際には、夜露に濡れることがあります。厚着をして体を冷やさないようにしましょう。
読者の皆様、お体ご自愛専一の程
筆者敬白