■1月14日「仙台どんと祭」です。■
「どんと祭(どんとさい)」は、宮城県を中心に行なわれる祭りの呼称。「仙台どんと祭」は全国でも最大規模で行なわれる正月送りの行事です。大崎八幡宮、仙台東照宮、陸奥國分寺薬師堂、賀茂神社など、いくつもの神社で行なわれます。
例年1月14日に、神社の境内で正月に飾りつけた松飾りや注連縄、近在より持ち寄られた古神札や達磨等を焚き上げます。
この焚き上げの火は、正月の間に各家庭に訪れていた神々を送る「御神火(ごしんか)」です。その火にあたることで、心身が清められ、一年の無病息災、家内安全、商売繁盛の加護を祈願します。他の地域では「左義長」「ドント焼き」「婿投げ」「墨塗り」などと呼ばれます。
伊達政宗が創建した国宝「大崎八幡宮(おおさきはちまんぐう)」で行なわれる、どんと祭は「松焚祭(まつたきまつり)」といって300年の歴史があります。市内各地から境内の御神火を目指して歩く「裸参り」で有名です。仙台市の無形民俗文化財に指定。
仙台総鎮守「大崎八幡宮」の主祭神は「応神天皇」「仲哀天皇」「神功皇后」で、社格は村社。江戸時代に仙台で盛んとなった「卦体神(けたいがみ:十二支の守り本尊)」信仰に伴い、「乾(北西)」の守り本尊である「阿弥陀如来」とされたことから、現在でも戌亥歳生まれの人からの崇敬を集めます。
平安の昔、東夷征伐の際、「坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)」が武運長久の祈念のために、武門の守護神「宇佐八幡宮(うさはちまんぐう)」を勧請。鎮守府八幡宮を創祀しました。室町時代には奥州管領「大崎氏」がこれを自領内に遷祀(現・遠田郡田尻町)。守護神として篤く崇敬したので「大崎八幡宮」と呼ばれるようになりました。
大崎氏滅後、伊達政宗公が岩出山城(いわでやまじょう)内の小祠に御神体を遷祀し、仙台開府後「仙台城の乾(北西)の方角」にあたる現在の地に祀り、その際、旧領の羽前国米沢にて崇敬していた「成島八幡宮」を共に祀りました。
権現造りの社殿は、桃山建築の粋を凝らした絢爛たる様式を今に伝える建造物で、その華やかさは見る者を圧倒します。現存最古の桃山建築物として、安土桃山時代の唯一の遺構として、国宝建造物に指定されています。
松焚祭の「裸参り」では、白鉢巻き・白さらしを巻いて、「含み紙」と呼ばれる紙を口にくわえ(私語を慎むため)、白足袋にわらじを履いて、右手に鐘を、左手には提灯を持って徒歩で参拝します。そして、御神火を渡り、火にあたるのです。
例年、100団体前後の約2500人が参加します。14日の午後は、一番町や中央通りなどの中心部商店街を歩いている裸参りの列が多数見られます。
大崎八幡宮
◇宮城県仙台市青葉区八幡4丁目6-1
◇JR「仙台駅」・地下鉄南北線「北四番丁駅」から仙台市営バス「大崎八幡宮前」下車
◇JR仙山線「国見駅」徒歩15分
◇公式サイト:https://www.oosaki-hachiman.or.jp
仙台東照宮
◇宮城県仙台市青葉区東照宮一丁目6番1号
◇公式サイト:http://s-toshogu.jp
陸奥國分寺薬師堂
◇宮城県仙台市若林区木ノ下2-8-28
◇公式サイト:http://www.08943.com
賀茂神社
◇宮城県仙台市泉区実沢字熊野山17
◇公式サイト:https://kamojinja.org/index2.html
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
大崎八幡宮の「どんと祭(松焚祭)」は裸参りとお焚き上げの火祭りです。正月飾りをお焚き上げすることで、正月気分から通常モードに切り替える、昔ながらの節目の神事です。
いまは正月2日から通常営業している商業施設も珍しくなく、日常と非日常の区切りをつけにくい社会ですが、地域の火祭りに出かけてお焚き上げをしてもらうのも日々の生活にけじめをつけるよい機会です。
筆者敬白