■1月2日「初荷」です。■
「初荷」とは、新年の商い始めの荷のこと。昔は正月2日に問屋や商店から、馬・車・船などに商品を積んで紅白の布で飾り、初荷旗をひるがえして売り先に送り届けました。提灯や幟で飾り立てた大八車や荷馬車は、とても目立ちました。また商家、商店では正月2日に新年初めて開店し初売りを始めました。
現在では4~5日頃、トラックで初荷を送るところが多くなっています。
■1月2日「初夢」です。■
「初夢」とは、新年になって見る夢のこと。古くは節分の夜に見る夢ともいわれていました。元来、大晦日は寝ずに過ごすものでしたから、元日の夜の夢を初夢と呼ぶようになりました。昨今「夢」は神仏のお示しであると信じられ、夢によってこれからを占います。
善い初夢を見る為に、宝船の絵を枕の下に入れて寝るという習慣もありました。様々な宝物や七福神などを乗せた船の絵には「長き世のとおのねむりの皆めさめ、波のり舟の音のよきかな」という回文(上から読んでも下から読んでも同じ)が書かれていました。この宝船伝説は、当初は「節分」または「年の暮れ」に貧乏神を乗せて他に流す呪いでしたが、次第に善い初夢を見る習慣に変化したようです。
お目出度い夢として「一富士・二鷹・三茄子」といわれます。
一説には「富士」は曽我兄弟富士裾野の仇討ち、
「鷹」は赤穂浅野家の紋所で赤穂浪士の仇討ち、
「茄子」は伊賀上野の荒木又右衛門の仇討ち
との説です。ともかく、宝船・富士・春駒の初夢は縁起がよいとされます。
■1月2日「書初め」です。■
「書初め」とは、年が明けて初めて書や絵をかく行事で、多くは1月2日に行われます。「吉書(きっしょ)」「試筆(しひつ)」「初硯(はつすずり)」ともいいます。
江戸時代には、若水で墨をすり、恵方(吉方)に向かって詩歌を書く風習があり、「長生殿裏春秋富、不老門前日月遅」という漢詩がもてはやされました。もともと宮中で行われていた儀式でしたが、江戸時代以降に庶民にも広まりました。書き初めで書いたものは、左義長〔※〕で燃やし、その炎が高く上がれば字が上達すると信じられていました。
※左義長(さぎちょう):1月14日(小正月)の夜に正月の松飾り類を焼く火祭りの行事。地方によって「どんど」「どんど焼き」「とんど(歳徳)焼き」「どんと焼き」とも呼ばれている。全国各地で同じような習慣がある。
毎年1月5日、東京千代田区の日本武道館では「全日本書初め大展覧会」が行なわれます。約3千人が参加するこの行事は、新年の風物詩のひとつとなっています。
「姫始め」
「姫始め」は1月2日の行事ですが、その由来についてははっきりしません。「姫飯(ひめいい)」を食べ始める日が適当な解釈ではないかとされています。あたたかく柔らかい飯を女性に喩え、男女の交合に変化したようです。「姫飯(ひめいい)」は柔らかいご飯のこと。これに対し「強飯(こわいい)」は蒸した固いご飯をいいます。今日でも、めでたい時は「御強(おこわ)」を食べますが、昔は祭りのあいだは強飯を食べ、祭りが終わると姫飯を食べました。
「ひめ始め」の由来には諸説あり、
「飛馬始め」 乗馬始め。
「火水始め」 火や水を使い始める日。
「女伎始め」 衣服を縫い始める日。
「秘め始め」 新年に夫婦が始めて和合をする日=秘事を始める日。
「姫糊始め」 女性が洗濯や張物を始める日。
など多数あります。