■12月3日「秩父夜祭」です。■
「秩父夜祭(ちちぶよまつり)」は、300年余の歴史のある祭で、京都祇園祭、飛騨高山祭と共に日本三大曳山祭のひとつに数えられています。
柞の森(ははそのもり、柞乃杜、母巣の杜)に鎮座する「秩父神社(ちちぶじんじゃ)」は、2000有余年の歴史を刻む秩父地方の総社です。崇神天皇10年(紀元前87年)、秩父の国造「知知夫彦命(ちちぶひこのみこと)」が祖先を祀ったのが始まりと伝わり、古くから武家の信仰を集めていました。旧社格は国幣小社。武州六大明神のひとつとされています。
現在の社殿は、徳川家康が社領517石を寄進し、天正20年(1592)に再建したもの。権現造りの社殿は極彩色の彫刻に彩られ、本殿の彫刻「つなぎの龍」(鬼門を守護する青龍)は有名です。
社殿と参道の延長には「武甲山(ぶこうさん、ぶこうざん)」があり、もともとは武甲山を神奈備(かむなび=神霊が鎮座する山や森のこと)として拝する聖地だったと伝わります。
秩父夜祭は秩父神社の例大祭で、毎年12月1~6日に行なわれることから「六日市」と呼ばれました。
武甲山の「男神」(蛇もしくは竜神、神仏習合後は蔵王権現)と秩父神社・柞の森の「女神」(神仏習合後は妙見菩薩)が「一年に一度の逢瀬」を楽しむ祭りといわれ、さながら冬の七夕伝説です。寛文年間頃から付祭(つけまつり:神社などの祭礼の余興)として屋台、笠鉾(かさぼこ)が曳かれるようになりました。
豪華な彫刻が施され提灯で飾られた笠鉾は「動く陽明門」とも言われます。
勇壮な屋台囃子を打ち鳴らし、曳き回される笠鉾2基と屋台4基の山車は、国の重要有形民俗文化財に指定。屋台両袖に舞台を特設しての地芝居(秩父歌舞伎)や、地元の花柳一門と杵屋一門によるひき踊りは、秩父神社神楽と共に「秩父祭の屋台行事と神楽」として、国の重要無形民俗文化財に指定されています。
平成28年(2016)には、日本の「山・鉾・屋台行事」のひとつとしてユネスコ無形文化遺産に登録されました。
▼笠鉾(かさぼこ)
祇園祭の山鉾(やまぼこ)のような鉾(標木、ひょうぼく)に、サカキや天道・石台・万灯・多層(1~3層)の花笠をつけているのが特徴。現在、曳行する際は電線を避けるため花笠をはずして屋形のみで引かれます。
▼屋台(やたい)
屋台には、(1)古くから屋形をもち張り出し舞台を取り付けられ屋台歌舞伎を上演する目的のもの、(2)笠鉾が近代に電線などの都合上で屋台に改造されたものがあります。秩父夜祭での屋台はすべて屋台歌舞伎(古くは屋台狂言および屋台歌舞伎)を上演する目的で水引幕・後幕を持ち、張り出し舞台を取り付けることができます。
秩父神社
◇埼玉県秩父市番場町1-3
◇秩父鉄道「秩父駅」徒歩3分
◇西武秩父線「西武秩父駅」徒歩15分
◇関越自動車道「花園IC」約30km
◇公式サイト:https://www.chichibu-jinja.or.jp
◆「秩父夜祭」(秩父神社):https://www.chichibu-jinja.or.jp/yomatsuri/
◆「秩父夜祭」(秩父まつり会館):https://www.chichibu-matsuri.jp/yomatsuri/
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
祇園祭の色彩の強い山車の笠鉾と屋台の彫刻の荘厳さは一見の価値があります。
師走の山間の夜祭です。見事な山車に思わず見とれてお風邪などお召しにならないようお体ご自愛専一の程
筆者敬白