2023.10.24
10月
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令和5年(2023)10月28日「速記記念日」です。

■10月28日「速記記念日」です。■

速記法」とは、話す言葉をそのまま記号化して書き取ってゆく手法のこと。会議や討論会などの記録を取る手段として考案された方法です。ヨーロッパでの歴史が古く、古代ギリシャ時代には既に使われていました。

日本で最初に速記符号を開発し体系化したのは田鎖綱紀(たくさりこうき、1854~1938)です。はじめは「疾書術」などと呼ばれていたそうでしょう。田鎖が開発した速記法は「田鎖式」と呼ばれます。
明治15年(1882)10月28日、田鎖が日本橋の「小林茶亭」で速記法の講習会を開いたのを記念して「速記記念日」として定められました。
明治27年(1894)、田鎖は日本の近代速記術を開発した功績により藍綬褒章を受賞し終身年金300円を授与しました。

現在、「早稲田式」「中根式」など、速記の文字は80種類ほどあるといわれます。ただし、速記法の検定では、速記記録したものを一定時間内に反訳する(元の日本語に書き起こす)正確度を問われるので、速記の方式はなんでも構わないことになっています。

速記といえば、衆参両議院で壇上の議員の話を記録する速記者の様子を見たことがある人もいるでしょう。衆議院と参議院それぞれの速記者養成所で訓練を受け、試験に合格した人たちです。速記者は通常2名置き、発言のみならず、ヤジや発言者の態度・様子なども同時に書き留めているそうです。明治23年(1890)第1回帝国議会から速記録が残されています。

速記者は速記文字から通常文字への反訳の際、固有名詞や専門用語の調査、簡単な文法ミスの修正、不要な単語のカット、言い間違いの修正なども行います。この作業を「整文」といい、技術者の腕の見せ所です。

近年は技術者不足から次第に録音で記録し、後でテープ起こしを依頼するという方式に移行しています。国会でも、平成18年(2006)には速記者養成所が廃止され、議事録作成のIT化が進んでいます。平成23年(2011)からは音声認識システムが導入されています。

◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆

これからAIによる音声認識のテキスト化がどんどん一般化していくでしょう。しかし、人々が話をしているその場の生々しい雰囲気までも記録するとなると、やはり人間にしかできないことがまだまだありそうです。

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