■10月26日「原子力の日」です。■
「原子力」とは、原子核変換や核反応により得られるエネルギー(核エネルギー)のことです。または、そのエネルギーを兵器や動力源に利用することをいいます。
原子核反応により発生するエネルギーは、石油石炭など化石燃料が生み出すエネルギーに比べて桁違いに大きいものです。
昭和38年(1963)10月26日、茨城県東海村「日本原子力研究所(現・原子力機構)」の動力試験炉(JPDR)が原子力による発電に成功しました。また、昭和31年(1956)の同じ日に、国連の専門機関のひとつである「IAEA(国際原子力機関)」に加盟した日ということもあり、これらを記念して「原子力の日」が設けられました。
原子力の利用目的には「平和利用」、そして「軍事利用」があります。原子力の利用目的を平和利用に限るための国際機関としてIAEAがあります。
日本における原子力の研究開発・利用は、「平和の目的に限定」し、「民主的な運営のもとに自主的に行う」もので、その「成果を公開」して国際協力に資するという原子力三原則があります。
原子力の平和利用とは核分裂や核融合で生じる「熱エネルギーの利用」のことを指します。
令和2年(2020)2月時点で、世界31ヶ国または地域で原子力発電が行われ、441基の原子力発電所が稼働しています。
原子力の平和利用のもうひとつは「放射線」の利用。医療用のX線撮影は病気の診断には欠かせません。がん治療にも放射線療法が用いられます。
◇日本初の原発事故◇
平成23年(2011)3月11日に発生した東日本大震災で、東京電力・福島第一原子力発電所では、1号機、2号機、停止中の3号機が水素爆発、2号機を含めた4基がメルトダウンという痛ましい事故被害に遭いました。周辺30kmの人々は避難を余儀なくされ、12年経った今でも(令和5年8月時点)約2万6000人の方が自宅に帰ることができない状況が続いています。
震災前(2010年)、日本では54基の原子力発電所が稼働し、発電量における原子力発電の割合は28.6%を占めていました。事故後、全国の原子力発電所は順次運転をやめ、翌平成24年(2012)5月、国内すべての原発が停止しました。同じ年の7月には、福井の大飯原発が、関西圏の夏場の電力事情を理由に稼動を開始。その時点で原発事故調査が終わってなかった事から、大きな社会問題になりました。
現在(令和2年(2020)2月時点)、日本では10基の原子力発電所が稼働し、全発電電力量に占める割合は4.3%になっています。
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
福島原発の事故以来、自然エネルギーのあり方が問われています。近年注目されている自然エネルギーは、これからの技術で、すぐに取って代われるものではありません。社会が「放射能」に過敏になりすぎている感もありますが、技術革新には一定の理解と時間が必要です。
筆者敬白