2023.07.31
8月

令和5年(2023)8月3日(旧6月17日)日本三大神事「広島、厳島神社 管絃祭(かんげんさい)」です。

■8月3日(旧6月17日)「広島、厳島神社 管絃祭(かんげんさい)」です。■

広島県の安芸国一宮厳島神社(いつくしまじんじゃ)」は、1400年の歴史を持つ神社で、全国約500社ある厳島神社の総本社です。式内社(名神大)、旧社格は官幣中社(現 別表神社)。

厳島神社のある厳島(宮島)は、俗に「安芸の宮島」と呼ばれます。日本三景のひとつです。平家納経で有名。厳島神社の平舞台は「四天王寺(大阪市天王寺区)の石舞台」「住吉大社(大阪市住吉区)の石舞台」と共に「日本三舞台」のひとつに数えられています。

世界文化遺産の「厳島神社」は、海を敷地とした大胆で独創的な配置構成と、平安時代の寝殿造りの粋を極めた建築美で知られ、平安時代末期の建築様式を知ることができる貴重な遺産です。

幅4m長さ約275m、床板には目透しという隙間を施し、高潮時の下から押し上げる海水の圧力を弱め、海水や雨水を海へ流す役割を果たす回廊。この回廊で結ばれた朱塗りの社殿は海に浮かんでいるようです。弥山の緑に抱かれ瀬戸の海を抱える様は、まるで竜宮城を思わせます。

推古天皇元年(593)佐伯鞍職により創建と伝えられ、仁安3年(1168)に、佐伯景弘が厳島神社を崇敬した平清盛の援助を受け、回廊で結ばれた海上社殿を造営しました。

本殿以下37棟の本宮(内宮)と、対岸の地御前に19棟の外宮を設け、社殿は平家一門の勢力が増大するにつれ高まり、その名を広く知らしめました。

鎌倉時代から戦国時代にかけて、政情が不安定になり荒廃した時期はありましたが、弘治元年(1555)厳島の合戦で勝利を収めた毛利元就が神社を支配下に置き庇護したことから社運は再び上昇。天下統一を目前にした豊臣秀吉も参詣して武運長久を祈願し、安国寺恵瓊に大経堂(千畳閣)建立を命じます。

海面にそびえる朱塗りの「大鳥居」は、奈良の大仏とほぼ同じ大きさで、主柱は樹齢500~600年の楠木で作られています。根元は松材の杭を打って地盤を強化し、箱型の島木の中に石を詰めて加重するなどして、鳥居の重みだけで立っています。(重文)

本殿は切妻両流造り。「市杵島姫:いちきしまひめ」(左)「田心姫:たごりひめ」(中)、「湍津姫:たぎつひめ」(右)の「宗像三女神」が祀られています。桧皮葺の屋根に瓦を積んだ化粧棟のスタイルを取り入れた寝殿造りが特徴です。

管絃」とは、三管【笛・笙(しょう)・茄(ひちきり)】、三鼓【太鼓・鞨鼓(かっこ)・鉦鼓(しょうこ)】、三絃【倭琴(わご)・琵琶・琴】等を用いて合奏する音楽のことで、古く都では池や河川に船を浮かべ、優雅な「管絃の遊び」をしていました。平清盛はこの風習を厳島神社の神事として執り行いました。

平安時代の宮島は「島そのものが神」と崇められ、信仰の対象とされたため、島内に人が住むことは出来ませんでした。平清盛は、厳島神社の姫神様がお乗りになる御座船(ござぶね)を造りました。船の舳先の左右に火を焚き、御鳳輦(ごほうれん)前の雪洞や艫に上げた高張提灯、飾り提灯に明かりを灯し、その明かりを暗い海に映しながら、船は華やかな灯の屋形となります。

夕刻の日が沈む頃に出御し、深夜、ほぼ満月に近い月明かりが照らすなか、対岸の地御前神社から厳島神社まで約6kmの瀬戸の海の波に揺られながら渡るのです。また、管弦船の御供船になると「海上安全・商売繁盛」に良いといわれ、大漁旗を掲げた漁船が瀬戸内各地から集まります。

祭典は午後4時、厳島神社の本殿に於いて発輦祭が行われ、御鳳輦を管弦船に移し、大鳥居の儀を終えて、船内で管弦を合奏しながら対岸の地御前神社に向かいます。火建岩沖に一時停船し提灯に明かりを灯し、地御前神社からの御迎船を水先に、地御前神社前の浜辺で祭典と管弦が奉奏されます。

祭典が終わると管弦船は宮島に向かい、長浜神社、大元神社で順次祭典を行い、大鳥居をくぐって客神社前で祭典と管弦を行い、御座船を廻りながら管絃を奉奏します。

瀬戸の海を舞台に雄大に繰り広げられる幻想的なシルエットは「平安絵巻」を彷彿させます。大阪天満の「天神祭」、松江の「ホーランエンヤ」とともに「日本三大神事」のひとつとなっています。

厳島神社
◇広島県廿日市市宮島町1-1
◇JR山陽本線「宮島口駅」から船「宮島桟橋」より
◇公式サイト:https://www.itsukushimajinja.jp
◆「厳島神社」(宮島観光協会):https://www.miyajima.or.jp/sightseeing/ss_itsukushima.html

◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆

厳島神社の管絃祭は日本三大神事のひとつです。これを機会に観光にお出かけくださって、平安絵巻をご覧になってください。
開催日は旧暦6月17日です。このため別名で「十七夜祭」とも。

今年も、暑さから熱中症になる方が多いとの報道です。観光にお出かけになる方はくれぐれも暑さ対策をなさってお出かけください。
皆様、お体ご自愛専一の程
筆者敬白

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