■令和元年5月1日「剣璽等継承の儀(剣璽渡御の儀)」です。■
◇剣璽等継承の儀(剣璽渡御の儀)はどんな儀礼ー
剣璽渡御(けんじとぎょ)の儀とは、天皇が譲位・崩御(ほうぎょ)の後、皇位継承者(皇嗣:こうし/皇位継承順位第1位の皇族)が践祚(せんそ:天子の位を受け継ぐこと)の際に皇位継承の証として剣と璽(つるぎとしるし:草薙剣、八坂瓊曲玉)を受け継ぎ、新天皇となる儀式のことです。
神体である剣と璽が新帝の下に自ら動くという謂われから「渡御」(神・天皇等が「渡る」ことをいう)という表現がとられます。この儀礼は、新天皇を国民や外国に公にする為の「即位の礼」とは違い、天皇譲位や天皇崩御の直後に行われてきました。
◇剣璽等継承の儀(剣璽渡御の儀)はいつからの儀礼ー
発祥を辿ると、桓武天皇時代に定めた儀礼で平城天皇(へいぜいてんのう:第 51代の天皇/在位 806~809 )が初例だったと記録があります。平安時代中期以後は践祚(せんそ)直後の「夜の儀式」として斎行されていました。
◇古くは明治時代の「登極令」から
明治42年(1909年)に制定され、大東亜戦争終戦後廃止された「登極令」(とうきょくれい:明治42年皇室令第1号)によれば、侍従が「奉仕」して「渡御」する剣と璽及び、内大臣秘書官が捧持する国璽(こくじ:国家の表徴として押す印章または印影)と御璽(ぎょじ:公布文や認証文に押される印章、印影)を内大臣が天皇の前にある机の上に置きます。
これが剣璽渡御です。
◇三種の神器(鏡、まが玉、剣/八咫鏡、八尺瓊勾玉、草薙剣)
三種の神器のうち神鏡は宮中三殿(神殿・皇霊殿・賢所)の賢所(かしこどころ)の神体であるため、他の場所には動かないのです。
剣璽渡御の儀と同時刻に「賢所の儀」が行われ、賢所で皇祖神天照大神に対し践祚(せんそ)の旨が告げられるのです。
◇平成天皇皇位継承から剣璽等承継の儀に
平成天皇皇位継承の際の昭和64年(1989年)1月7日には、日本国憲法の政教分離規定への配慮から「剣璽等承継の儀」とされ、国事行為たる儀式として、剣・璽及び国璽・御璽を侍従長が新天皇の前にある机に置く短い儀式です。
◇位継承には三つのステージの儀礼があります。
1、皇位の証である三種の神器を受け継ぐ儀式/剣璽等承継の儀(令和元年5月1日)、
2、即位した事を内外に示す即位式/即位礼正殿の儀(令和元年10月22日)、
3、即位した天皇が、即位後初めて五穀豊穣を神に感謝する新嘗祭/大嘗祭(令和元年11月14日、15日)
◇テレビ中継の予定(NHKのHPから)
退位礼正殿の儀 4月30日 午後5時~
憲政史上初めて行われる天皇陛下の退位の儀式「退位礼正殿の儀」。
今上(平成)天皇陛下が国民への最後の「おことば」を述べられます。
剣璽等承継の儀 5月1日 午前10時30分~
皇位の証しとして歴代天皇に伝わる剣やまが玉などを受け継ぐ「剣璽等承継の儀」。
「即位の礼」の最初の儀式で、今上(令和)天皇として臨まれる初めての公務になります。
即位後朝見の儀 5月1日 午前11時10分~
即位した天皇が皇后とともに即位後に初めて国民の代表と会う儀式「即位後朝見の儀」。
天皇として初めてとなる「おことば」を述べられます。