■11月5日~11月16日「八専(はっせん)」です。■
暦の上で「十干:じゅっかん」「十二支:じゅうにし」を、「五行説:木火土金水」に当てはめると、干支ともに同じ気が重なるものが12日あります。そのうちの8日が「壬子~癸亥」の12日間に集中していて、特別な意味を持つ期間とされました。同じ気が重なることを「専一」と言いい、それが8日あることから「八専」と呼びます。八専の期間には同気の重ならない日が4日あり、これを「八専期間中の間日(まび)」と呼びます。
1日目/壬子 =水水、 ←水の気が重なる
2日目/癸丑 =水土、 間日(まび)
3日目/甲寅 =木木、 ←木の気が重なる
4日目/乙卯 =木木、 ←木の気が重なる
5日目/丙辰 =火土、 間日(まび)
6日目/丁巳=火火、 ←火の気が重なる
7日目/戊午 =土火、 間日(まび)
8日目/己未=土土、 ←土の気が重なる
9日目/庚申 =金金、←土の気が重なる
10日目/辛酉 =金金、 ←土の気が重なる
11日目/壬戌 =水土、 間日(まび)
12日目/癸亥 =水水、 ←水の気が重なる
間日(まび):このうち、癸丑・丙辰・戊午・壬戌の4日間を、八専の間日(まび)といいます。間日は八専の影響を受けづらい日です。八専は年に6回程あります。
八専の期間は「天干てんかん」と「地支:ちし」が同じ気なので、気が偏って良い事はますます良く、悪いことは更に悪く傾きやすくなります。これは、振幅の激しい期間で、準備を怠らなかった人には良い結果が、場当たり的な対応をした人にはそれなりの結果が訪れます。
古代中国では、むしろすべてのことに良いとされていて「淮南子:えなんじ」※には「専を以て干支(えと)に従えばすなわち功あり」と記されています。八専の期間中は、天地が朦朧(てんちがもうろう)として、人間社会でもバランスが取りづらくなります。人間関係では些細なことで思わず亀裂が入っ
※淮南子=中国前漢時代の皇族で、学者でもある「淮南王劉安」(えなんおうりゅうあん・紀元前179年~紀元前122年:写真中央)が、学者を集めて編纂させた思想書
「八専」はもともと、築城・軍営・出陣・出兵には適さない日(凶日)として、戦争を司る軍略家の用いるものでした。
一般には、家作・植樹・地ならしなどの建設的な事柄には良く。立ち退き・解体・廃棄など処理的な事柄や婚礼、蓄類の売買には良くない日とされ、仏事も避ける(忌む)とされます。
また、八専期間中は雨が降る日が多いといわれています。八専始め「壬子=水と水」八専終わり「癸亥=水と水」と水の気が始めと終わりにあるので、雨が多い期間とされています。
◇◇◇◇編集後記◇◇◇◇
11月の八専が終わると二十四節気「小雪」で日々のに日格差が大きく体調を崩しやすい季節で。すぐに12月節「師走」です。師走と聞いただけで心なしか忙しなくなるこの時期、新しいプランを立てるなど、八専の作用を存分に活用すれば、物事が確実に成就していきます。
いわゆる、「事始め」前の「準備期間」が「八専」と言えます。
難しい問題や逆境にある方が、ここで一大決心をすると、大自然が味方になって、良い作用が発現した例を数多く聞き及びます。
時節柄お体ご自愛専一の程
筆者敬白