■4月2日「日光、輪王寺 強飯式」です。■
「強飯式:ごうはんしき」とは、日光山に古くから伝わる儀式で「強飯頂戴の儀」のことです。
日光山は神仏習合の霊山として開かれ、山伏の山岳修行が盛んになり、行者達がご本尊に供えた「お供物」を持ち帰って里の人々に分け与えたことが始まりと伝わります。
日光山は、天皇の皇子を「輪王寺の宮」として迎えた「鎮護国家の道場」として知られます。江戸時代には、十万石以上の大名でなければ頂戴人を勤めることは許されませんでした。徳川将軍家の名代や全国の名だたる大名たちが強飯頂戴人に名を連ねました。
「強飯式」の儀式全体は、「三天合行供・採灯大護摩供」「強飯頂戴の儀」「がらまき」の3部から成り立っています。
始まりの儀式では、僧侶・山伏・頂戴人が三仏堂に入堂。お堂の全ての扉が閉じられ、壇上に灯された1本の蝋燭で明かりをとります。「三天合行供」の読経とともに、「採灯大護摩供」の炎が上がります。
次いで頂戴人の方々が壇上に並び「強飯頂戴の儀」が始まります。御神酒・祈願文・強飯・菜膳・金甲・供養の順で進められます。大鉢に盛られた飯一人分は何と3升!「75杯、残さず食べろ!」と山伏たちが責め立てます。これが「日光責め」と呼ばれる所以です。
最後に、「がらまき」です。強飯頂戴の儀を無事に済ませた「頂戴人」たちが、授かった福徳を「自分だけのものとせず、他の人にも分ける」という仏教えに従い、縁起物や玩具の品々を本堂回廊から一般参拝者へ向けて一斉に撒きます。この「がらまき」で強飯式の総仕上げです。
◇日光山「輪王寺」
◇栃木県日光市山内2300
◇JR・東武「日光駅」バス10分
◇輪王寺公式HP:http://www.rinnoji.or.jp/
◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆
飽食といわれて久しい今日です。スーパーには海外からの輸入食品が並んでいます。強飯式を機に日本の農業、食文化について振り返って見ましょう。
食事の前に「いただきます」、食後に「ごちそうさまでした」と感謝の気持ちを込める日本の食文化を世界中に広げたいものです。
季節の変わり目です。時節柄お体ご自愛専一の程
筆者敬白