2022.09.26
9月

令和4年(2022)9月29日 曹洞宗、両祖忌 です。

■9月29日「曹洞宗両祖忌」です。■

0909_25.jpg曹洞宗の開祖道元:どうげん」は、鎌倉時代の禅僧。日本に歯磨洗面、食事の際の作法や掃除の習慣を広めたことで知られます。
 
4歳にして漢詩を、7歳の時には「春秋左氏伝」を、9歳で「倶舎論」を読んだという稀に見る才能を現した道元でしたが、8歳の時に母を亡くします。世の無常を感じた道元は、次第に仏教に惹かれ、13歳で比叡山延暦寺の良顕(母方の叔父)を訪ね、翌年に出家し仏門に入ります。このとき「仏法房道元」と改名。
 
ところが、比叡山での修行中に大きな疑問を抱き、比叡山を降ります。真の仏法を学ぶため、貞応2年(1223)、宋に渡って諸山を巡り、曹洞宗天童山の如浄禅師のもとに参じ入門します。ここで修行中「只管打坐しかんたざ=ただ一心に座る」★を極め、印可を受けます。
 
110920_20.jpg帰国後、建仁寺で「普勧坐禅儀」を著します。後に、京都深草の安養院にて「正法眼蔵」の第一巻となる「弁道話」を著し、これは開宗宣言とも言われます。
 
天福元年(1233)深草に興聖寺を建立。道元34歳。只管打坐の仏法を実践する道場には、人々が次第に集まり、僧団も拡大していきました。
 
比叡山の迫害を受け続けた道元は、寛元元年(1243)波多野義重の招きで、越前志比庄に移転します。寛元2年(1244)修行道場「大佛寺」を開きます。翌々年「永平寺」※に改められました。
 
建長5年(1253)病床で「正法眼蔵」最後の巻八大人覚」を著し、弟子の孤雲懐奘(こうんえじょう)に永平寺を譲り、療養のため京へ向かいます。
 
同年8月28日、俗弟子の屋敷・京都高辻西洞院で死去。享年54歳。死因は瘍とされています。
永平寺」は、本尊を釈迦如来・弥勒仏・阿弥陀如来の三世仏とする曹洞宗大本山で、山号を吉祥山と称す出家参禅の道場で、永平とは「永久和平」の意。


室町時代「曹洞宗第1道場」の勅額を得て、日本の禅修行の場として歴史を刻んできました。33万平方mの広大な敷地には、山門・仏殿・法堂・僧堂・大庫院・浴室・東司、修行の中心となる「七堂伽藍」など、70余棟の建物は、樹齢600年を越える老杉の巨木に囲まれ、静かに佇んでいます。約150名の雲水たちは、荘厳な雰囲気の中で、道元が定めた厳しい作法により禅の修行を営んでいます。
120915_21.jpg大本山「總持寺」※を開かれた曹洞宗の母と称される太祖常済大師(瑩山禅師)は、正中2年(1325)8月15日に、石川県羽咋市の永光寺にて、58歳で示寂されました。
 
道元禅師、瑩山禅師両祖大師の示寂された両日を、近代に入って太陽暦に換算したところ、不思議なことに、いずれも9月29日となりました。この日「両祖大師のご命日」として、「両祖忌」と定めました。
 
曹洞宗のお寺では、この日、道元禅師と瑩山禅師の両祖の御遺徳を偲び、報恩感謝の法要を営みます。

180923_21.jpg「少欲知足:しょうよくちそく」=足るを知る。貧しいことが善でもありません。豊かなことが悪でもありません。貧富にかかわらず貪欲の心が起こるとき、人は美しい心を失います。仏心とは足ることを知る心のことです。(道元禅師のメッセージより)
 
「無価大宝:むげたいほう」=人の価値は、地位や財産や職業に関係ありません。知識や能力だけで人を評価すると、過ちを招きます。知識を生かす心に行いこそ大切。人の価値は心と行いから生ずるのです。

180923_22.jpg「只管打坐:しんかんだざ」=ただひたすら一心に座る。世間では「目的のない行為」は存在しないというのが通説ですが、何も求めない生き方。今は、今しかない。そして今を切にに生きる。そこから将来が生じてくるのです。座禅の心得から、生き方の心得を示しています。

永平寺
◇福井県吉田郡永平寺志比5-15
◇えちぜん鉄道「永平寺口駅」~バス「永平寺門前」
◇北陸自動車道「福井北IC」~国道416号約5km
◇参考ブログ
http://www.mitene.or.jp/~katumin/

総持寺
◇神奈川県横浜市鶴見区鶴見2-1-1
◇JR京浜東北線、鶴見駅西口より徒歩(約7分)
◇京浜急行線、京急鶴見駅より徒歩(約10分)
◇公式HP
http://sojiji.jp/index.html

◇◇◇◇編集後記◇◇◇◇
東日本大震災で、福島第1原発所長だった原発事故当時の故吉田所長(享年58歳)は、精根尽きて現場から離れ、2013年に他界しました。
当初は髪の毛も黒々していて生気に満ち溢れていましたが、白髪が混じりで疲れた姿は、仕事の熾烈さは映画にもなりました。危険な業務にも果敢に取り組む姿勢は、どこか深い仏心を感じざるを得ませんでした。ご冥福をお祈りします。

読者の皆様、季節の変わり目です。お体ご自愛専一の程
筆者敬白

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