2020.06.20
その他

≪注釈≫雑節・歴注・撰日

◆旧誓文払い
※官者殿、冠者殿(かんじゃでん):
誓文返しの神で、天照大神(あまてらすおおみかみ)と素戔鳴尊(すさのおのみこと)の間に誓約(うけひ)が交わされたことに由来しています。または悪王子の社(やしろ)※ともいい、土佐房昌俊(とさぼうしょうしゅん/平安時代末期の僧・武将。?~1185)を祀るとも伝わる。この日、商人の身代りとなって垢離(こり)※をとるすたすた坊主※ともいって、江戸時代の天保期(1830~44)ころまでみられた独特な風習。
※悪王子の社(あくおうじのやしろ):
戔嗚尊 (スサノオノミコト)の荒魂※で、荒魂を祀る悪王子社(京都市下京区東洞院四条下ル西側元悪王子町)があった場所が町名として呼ばれるようになった。
※垢離(こり):
神仏に詣でるときや祈願に先だって、水にて身心の罪穢を除き清めるための禊(みそぎ)の一種。水垢離(みずごり)、垢離掻(こりかき)などともいう。※食坊主(こじきぼうず):金品をもらった物乞い。上方や江戸で、寒中、裸で縄の鉢巻をし、腰に注連縄(しめなわ)を巻き、手に扇と錫杖(しゃくじょう)を持って、銭五七文を串に貫き、わりかけの竹にはさんで振りならしながら「すたすた、すたすた、すたすたぼうずのくるときは、腰には七九のしめをはり、あたまにしっかと輪をはめて」などと歌いながら踊り、家ごとに立寄って物乞いをして歩いた坊主(僧侶ではない)。
※荒魂・和魂(あらたま・にぎみたま):
魂には荒魂(あらたま)と和魂(にぎみたま)の側面があるとされ、和魂にはさらに幸魂(さきみたま)・奇魂(くしみたま)の二つの象意が現れるとされる。荒魂は荒ぶる魂で、勇猛果断、義侠強忍等に妙用され、神威(しんい)を畏(おそ)れるとされる。
◆三隣亡
※保呂風日(亡ぼす、滅ぼす):
とは、宣明暦(せんみょうれき)※の時代に、伊勢暦(いせこよみ)※などにあった暦注※の下段に記載されていた。
※三輪宝(さんりんぼう):
天・地・人の三角点には宝が存在するとされること、転じて暦注ではよい日(吉日)だった。
※宣明暦(せんみょうれき):
中国暦の一つで、唐の長慶2年(822年)から使用された太陰太陽暦の暦法。 正式には 長慶宣明暦 (ちょうけいせんみょうれき)日本では、平安時代から823年間使用され、貞享2年(1685)に貞享暦に改暦された。
※伊勢暦(いせこよみ):
現在の神宮暦の前身、江戸時代に伊勢神宮の門前で製作し頒布されていた暦
※凶日(好ましくない日):
には不成就日(ふじょうじゅにち)、受死日(じゅしにち)、十死日(じゅうしにち)、帰忌日(きこにち)、重日(じゅうにち)、復日(ふくにち)、天火日(てんかにち)、地火日(じかにち)、三隣亡(さんりんぼう)、三箇の悪日(大禍日(たいかにち)、狼藉日(ろうじゃくにち)、滅門日(めつもんにち))などがある。
※六輝(ろっき):
現在の暦の月・火・水・木・金・土・日のことで、六曜(ろくよう、りくよう)とも
※暦注(れきちゅう):
暦に記載される日時・方位などの吉凶、運勢などの事柄のこと
※お化け暦(おばけごよみ):
明治~昭和にかけて、民間で発行された暦書(カレンダー)のこと、明治5年(1872)の改暦詔書で官暦(本暦・略本暦)では、それまでの日の吉凶などを示す暦注が迷信として排除、旧暦併記も取りやめとなったため、これらを求める庶民に歓迎された暦のこと
◆不成就日
※宣明暦(せんみょうれき):
中国暦の一つで、唐の長慶2年(822年)から使用された太陰太陽暦の暦法。 正式には 長慶宣明暦 (ちょうけいせんみょうれき)日本では、平安時代から823年間使用され、貞享2年(1685)に貞享暦に改暦された。
※会津礫(あいづれき):
会津若松城の鎮守諏訪神社の神官が賦暦(無償で配る暦)を、隣町の七日町住菊地庄左衛門が売暦(販売する暦)を発行していました。貞享の改暦以前には宣明暦法により独自に編暦、改暦後は幕府天文方からの「写本暦」(頒暦の稿本)に従って製作された。永亨年間(1429~)から「開板」とあり東北一円で頒布されていた。
※貞享暦(じょうきょうれき):
貞享暦は、渋川春海の観測に基づき、中国元代の授時暦に中国と日本の里差(経度差)を補正し、1年の長さが徐々に変化するという消長法を援用して改良した暦法。それまでの宣明暦から貞享元年(1684)10月に改暦の宣下があり、暦号を「貞享暦」と賜りました。それ以前は、春海はこの暦を「大和暦」と称していた。
※渋川春海(寛永16年(1639)~ 正徳5年(1715)しぶかわしゅんかい):
父の死後、襲名して家職を継いで2代目算哲と称した。のち保井、さらに渋川と姓を改める。名の方は「はるみ」または「しゅんかい」。日本では古来中国の宣明暦を採用していたが、日本人の手になる独自の暦法(貞享暦:じょうきょうれき)を作った人物として著名。その功により貞享1年(1684)初の天文方となる。天地明察(2012年、角川映画)で有名
※選日講訳(せんじつこうしゃく):
文政13年(1830)に発行された暦の解釈書籍、中には一粒万倍日・不成就日・八専・十方暮・天一天上・三隣亡・三伏・大犯土・小犯土・臘日などがある。
※伊勢暦(いせこよみ):
現在の神宮暦の前身、江戸時代に伊勢神宮の門前で製作し頒布されていた暦
※開運歴(かいうんれき):
元伊勢暦を原型として全国に賦暦(無償で配る暦)された。現在の市販売歴はほとんどが開運歴流れを汲む
一粒万倍日
※宣明暦(せんみょうれき):中国暦の一つで、唐の長慶2年(822年)から使用された太陰太陽暦の暦法。 正式には 長慶宣明暦 (ちょうけいせんみょうれき)日本では、平安時代から823年間使用され、貞享2年(1685)に貞享暦に改暦された。
※貞享の改暦(じょうきょうのかいれき):
平安時代の貞観4年(862)から中国の宣明暦(せんみょうれき)をもとに毎年の暦を作成してきましたが、800年以上もの長い間同じ暦法を使っていたので、実態と合わなくなってきていたのです。貞享2年(1685)、渋川春海(しぶかわはるみ 1639~1715)※によって初めて日本人による暦法が作られ、暦が改められました。これを「貞享の改暦」といいます。江戸時代には、そのあと「宝暦の改暦」(1755)、「寛政の改暦」(1798)そして「天保の改暦」(1844)の全部で4回の改暦が行われました。
※渋川春海(寛永16年(1639)~ 正徳5年(1715)しぶかわしゅんかい):
の死後、襲名して家職を継いで2代目算哲と称した。のちに保井、さらに渋川と姓を改める。名の方は「はるみ」または「しゅんかい」。日本では古来中国の宣明暦を採用していたが、日本人の手になる独自の暦法(貞享暦:じょうきょうれき)を作った人物として著名。その功により貞享1年(1684)初の幕府の天文方となる。天地明察(2012年、角川映画)で有名
※太陽暦(たいようれき):
地球が太陽の周りを回る周期(太陽年)を基にして 1年の日数を1太陽年に近似させる暦法。 現在、世界の多くの地域で使用されているグレゴリオ暦やユリウス暦は太陽暦の1種である。日本では明治6年(1873)から導入
◆天一天上
※陰陽道(おんみょうどう、いんようどう):
日本独自で発達した天文道・暦道を用いた呪術や占術の技術体系、起源は「陰陽思想」「陰陽五行論」という2つの古代中国思想で、陰陽寮(7~11世紀世紀律令制度下で中務省に属する機関。占い・天文・時・暦の編纂を担当)で教えられていた天文道、暦道などの一つ。これら道の呼称は大学寮(式部省/現在の人事院に相当、直轄下の官僚育成機関)でも伝えられた。
※方角神(ほうがくしん):
陰陽五行から生じた神々で、その神のいる方位に事を起こすと吉凶の作用をもたらすと考えられた。方位神(方角神の類語)は、定められた規則に従って各方位を遊行する。吉神のいる方角を吉方位といい、凶神のいる方角を凶方位解釈していた。また、四神(しじん)とは、東西南北の四方を守る神(守護神)のことで、「方位の四神」とも呼ばれる。 東は青龍(せいりゅう)、西は白虎(びゃっこ)、南は朱雀(すざく・すじゃく)、北は玄武(げんぶ)の四神(霊獣)をいいます。 「四神」の信仰は、古代中国で誕生から日本に伝えられた。
※天一神(てんいちじん):
一神(てんいちじん、てんいつじん)は方角神の一つで、十二天将の中神(なかがみ)、天一(てんいち)、天乙(てんおつ)、貴人(きじん)ともいう。天一神は天と地との間を往復し、四方を規則的に巡るとされ、天一神のいる方角を犯すと祟りがあるとされた。中神は荒神(こうじん/民間信仰で台所の神として祀られる神格)であるとの伝わる
※禁忌(きんき):
悪い方位のこと。さわりのあるものとして忌みはばかられる物事への接近・接触を禁ずること。病気・出産・死などのに関するもの、食べ物、方角、日時に関するものさまざまある。違反(~侵す)すると超自然的な制裁を蒙るとされる。類語:さわり/タブー
※日遊神(にちゆうしん):
天一天上期間を選日※として暦に記載されている。天一天上の期間は天一神の祟りはないが、その代わりに日遊神が地上に降りて家の中に留まるので、この期間は家の中を清潔にしなければ日遊神の祟りがあるとされている。年の最初の天一天上の1日目を「天一太郎」と呼び上吉日(とても良い日)とされている。
選日(せんじつ、せんにち):
暦の中でも年中行事・五節句・雑節に含まれないものの総称で暦注にその日の象意(しょうい/作用のこと)が記されます。建前や冠婚葬祭で上吉日(良い日)を選ぶ際に活用されます
※中神(なかがみ):
陰陽道で方角神の一つ。天一神は十二天将(十二神将とは違う)の中央に立つので中神とする天一神の俗称。
※十二天将(じゅうにてんしょう):
安倍晴明が使役したとされる式神達。陰陽師に六壬神課(およそ二千年前の中国で成立した占術)で使用する象徴体系の一つ。北極星を中心とする星や星座に起源があり、陰陽五行説に当てはまる。
※地星の霊で荒神(解説):天地の地にいる霊でかまどの神。防火・農業の神で食を司るとされ、本質的には凶神で人間に災いをもたらす。
※吉凶禍福(きっきょうかふく):幸いとわざわい。よいことと悪いこと。また、めでたいことと縁起の悪いことの総称
※塞がり(ふさがり):
陰陽道(おんようどう)で大将軍・太白神・天一神(なかがみ)などの凶神がいる方角。この方角に向かって事をなすと禍(わざわい)があるとされる。ふさがること。差しつかえること。
※物忌み(ものいみ):
ある期間中、ある種の日常的な行為をひかえ穢れを避けること。仏教でいう斎戒に同じ。具体的には、肉食や匂いの強い野菜の摂取を避け、他の者と火を共有しないなどの禁止事項がある。日常的な行為をひかえることには、自らの穢れを抑える面と、来訪神(まれびと)などの神聖な存在に穢れを移さないためという面がある
※方違え(かたちがえ、かたがえ、かたいみ):
陽道に基づいて平安時代以降に行われた風習。方角の吉凶を占い、方角が悪いと一旦別の方向に出かけ、目的地の方角が悪い方角にならないようにすること。
◆八専
※十二支(じゅうにし):
二支(じゅうにし)とは、子(ネズミ)・丑(牛)・寅(トラ)・卯(うさぎ)・竜(龍)・未(蛇)・午(馬)・羊(ヒツジ)・申(サル)・酉(にわとり)・戌(犬)・猪(いのしし)の12種の動物を現す漢字のこと。同様に「十干:じっかん」※と組み合わせることで、60を1周期とする「干支:えと」を形成し、方角や時間、暦に用いられる。また、陰陽五行説と組み合わせることで卦(け)にも応用されるようになった。
※十干(じっかん):
木・火・土・金(ごん)・水の五行(五行)を兄(え)・弟(と)に分けたもの。年・日を現す。甲(きのえ)・乙(きのと)・丙(ひのえ)・丁(ひのと)・戊(つちのえ)・己(つちのと)・庚(かのえ)・辛(かのと)・壬(みずのえ)・癸(みずのと)十二支と組み合わせて使う。
※五行(ごぎょう)五行思想(ごぎょうしそう)五行説(ごぎょうせつ):
古代中国に端を発する自然哲学の思想。万物は火・水・木・金・土の5種類の元素からなるという説である。また、5種類の元素は「互いに影響を与え合い、その生滅盛衰によって天地万物が変化し、循環する」という考えが方が根底にある。西洋の四大元素説(四元素説)と比較される東洋思想
※間日(まび):
八専のうち、癸丑・丙辰・戊午・壬戌の4日間を、八専の間日(まび)といいます。間日は八専の影響を受けづらい日です。八専は年に6回程あります。
※天干(てんかん):
十干(じゅっかん)とも呼ぶ。古代中国の数詩で時間と空間を現わすのに使用した。殷(いん)代(紀元前十五世紀~紀元前十一世紀)頃の甲骨文字に記載がある。五行の「木」「火」「土」「金」「水」が、陰陽それぞれに分かれたもので、「甲」「乙」「丙」「丁」「戊」「己」「庚」「辛」「壬」「癸」の十個に分けられる。
※地支(ちし):
十二支(じゅうにし)とも呼ぶ。「子」「丑」「寅」「卯」「辰」「巳」「午」「未」「申」「酉」「戌」「亥」の総称である(それぞれ音訓2通りの読み方がある)。十干を天干というのに対して、十二支を地支(ちし)ともいう。
※淮南子(えんんじ):
中国前漢時代の皇族で、学者でもある淮南王劉安(えなんおうりゅうあん・紀元前179年~紀元前122年)が、学者を集めて編纂させた思想書

庚申
※禁忌(きんき):悪い方位のこと。さわりのあるものとして忌みはばかられる物事への接近・接触を禁ずること。病気・出産・死などのに関するもの、食べ物、方角、日時に関するものさまざまある。違反(~侵す)すると超自然的な制裁を蒙るとされる。類語:さわり/タブー
※五行(ごぎょう)五行思想(ごぎょうしそう)五行説(ごぎょうせつ):
古代中国に端を発する自然哲学の思想。万物は火・水・木・金・土の5種類の元素からなるという説である。また、5種類の元素は「互いに影響を与え合い、その生滅盛衰によって天地万物が変化し、循環する」という考えが方が根底にある。西洋の四大元素説(四元素説)と比較される東洋思想
三尸の虫(さんしのむし):
道教に由来する人間の体内にいるとされている虫。三虫(さんちゅう)三彭(さんほう)伏尸(ふくし)尸虫(しちゅう)尸鬼(しき)尸彭(しほう)ともいう。60日に一度めぐってくる庚申(こうしん)の日に眠ると、この三尸が人間の体から抜け出し天帝にその宿主(人間)の罪悪を告げ、その人間の寿命を縮めるとされ、庚申の夜は眠らずに過ごすという風習が生まれた。一人で徹夜は難しいことから、庚申待(こうしんまち)の行事がおこなわれる。
※三猿信仰(さんさるしんこう):3匹の猿が両手で目、耳、口を隠している姿のこと。「見ざる、言わざる、聞かざる」という叡智の3つの秘密を示しているとされる。日光東照宮にの彫刻が有名
◆大犯土・小犯土
※撰日(せんじつ):
暦注」の中でも、五節句・雑節、年中行事などに含まれないものの総称。昔から天体の動きを調べて日の良し悪しを「暦」で表た。現代でもその名残りは残っていて、冠婚葬祭には良い日を選択して縁起をかつぐなど、現代でも変わらず使われている。別呼「雑注」とも/一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)不成就日(ふじょうじゅび)三隣亡(さんりんぼう)八専(はっせん)大犯土・小犯土(おおつち・こつち)天一天上(てんいちてんじょう)天赦日(てんしゃび)土用(どよう)十方暮(じっぽうぐれ)三伏日(さんぷくび)がある。

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